国会事故調“重大な調査妨害”2月7日 13時15分
東京電力福島第一原子力発電所の事故調査を担当した国会の事故調査委員会の元委員が、去年、1号機の現場調査を検討した際、東京電力から「内部は真っ暗だ」などと実際とは異なる説明を受けたため調査を断念することになったと明らかにし、「重大な調査妨害があった」として、衆参両院の議長に早急に現場調査をするよう求める文書を提出しました。
文書を提出したのは、国会事故調の田中三彦元委員です。
それによりますと、去年2月、国会事故調のメンバーが、事故と地震との関係を調べるため福島第一原発1号機の現場調査を計画した際、東京電力から現場の状況について虚偽の説明を受けた結果、調査を断念することになったとしています。
具体的には、東京電力側が、みずから撮影した建屋内部の映像を見せながら、「1号機を覆うカバーを設置する前に撮影した」としたうえで、「今はカバーに覆われて真っ暗で、非常に危険性が高く、作業員の余分な被ばくを避けるため調査にも同行できない」などと説明があったということです。
ところが、その後、この映像が東京電力の説明とは異なり、カバーの設置が終わったあとに撮影されたものだと分かったということです。
東京電力が公開している映像を見ると、場所によっては暗く懐中電灯で照らさないと周囲がよく見えませんが、国会事故調が調べようとしていた冷却装置の周辺は、上から光が差し込み真っ暗な状況ではないことが分かります。
この冷却装置は、電源が失われても蒸気を利用して原子炉を冷却できる非常用復水器と呼ばれる装置で、国会事故調の最終報告では、事故当日の地震のあと、装置につながる配管の付近で作業員が水漏れを目撃したという証言があることから、地震で配管が破損した可能性が否定できないとして、水漏れとの関係も含めて詳しく調べる必要があると指摘しています。
記者会見をした田中元委員は、「高い線量など、現場調査の難しさはほかにもあるが、調査を断念した理由は『真っ暗だ』と言われたことに集約される。行かせたくないという意図を感じた」と述べました。
そのうえで、「重大な調査妨害があった」として、衆参両院の議長らに経緯を調べ早急に現場調査をするよう求める文書を提出しました。
今回の指摘について東京電力は、「担当者が、動画を撮影した時期を誤って認識していたため、間違った説明になっていた。説明に誤りがあったことはおわびする。1号機の原子炉建屋は今も危険な状況が変わらないが、今後、現場調査の指示などがあれば真摯(しんし)に対応していく」と説明しています。
[関連リンク] |
|