えいえんは、あるよ
ONE ~輝く季節へ~とは、株式会社ネクストンの1ブランドTacticsから1998年5月26日に
「心に届くADV第2弾」として売された18禁恋愛アドベンチャーゲームである。
現Key所属のスタッフがメインで製作したゲームであり、Keyのゲームとほぼ同等に扱われるのが通例である。
概要
主人公は穏やかな学園生活を過ごすなかで、いずれはこの日々も失われてしまうという疑念から、自らが「永遠の世界」と呼ぶ一種の精神世界に引き込まれてゆく。過ぎ去ってゆくものへの想いや今を生きるための絆をテーマとした寓話的作品。
ほのぼのとした恋愛パートでプレイヤーを感情移入させ、終盤の劇的な別れと再会で感動させる、という本作の構成はその後、恋愛ゲームの定番スタイルの一つとなった。そのため、俗に言う「泣きゲー」のジャンルを開拓した作品であるとの呼び声も高い。
「永遠の世界」が何なのかについては明確な解答が作中で提示されることが無かったため、その解釈を巡ってファンの間で考察が盛り上がった作品でもある。本作の企画担当である麻枝准はその後も、『Kanon』の川澄舞・沢渡真琴シナリオ、そして『AIR』において結論や解答をはっきりさせない作風から、解釈について議論を巻き起こしている。
ちなみに開発時のコンセプトは「To Heartっぽいもの」だったそうである。これは前作『MOON.』の売上がパッとしなかったため(本作のヒットを受けて後にロングセラーになった)。
業界シナリオライターからの評価も高く、奈須きのこ、元長柾木などはこの作品が自作への影響力があったと発言している。また、音楽も高い評価を受けている。
登場人物
- 折原浩平 …… 主人公。
- 長森瑞佳 …… だよもん星人。浩平の幼なじみ。世話焼き。
- 七瀬留美 …… 転校生。乙女を目指す漢女。
- 里村茜 …… 浩平のクラスメート。雨の日に空き地で誰かを待っている。
- 川名みさき …… 1学年上の先輩。盲目。見た目に似合わず大食らい。
- 上月澪 …… 後輩。唖障害のためスケッチブックで会話する。演劇部員。
- 椎名繭 …… かんしゃく持ちの登校拒否児。
- 深山雪見 …… みさきの幼なじみで、澪の所属する演劇部の部長。
- 柚木詩子 …… 茜の親友。
- 広瀬真希 …… 七瀬にちょっかいをかけるクラスメート。
- 住井護 …… 浩平の悪友。
- 氷上シュン …… 浩平と同じ軽音楽部の幽霊部員。
- 折原みさお …… 主人公の妹。主人公が幼い時に既に他界している。
- 清水なつき
移植版・小説版・ドラマCD版・OVA版・続編
本作発売ののち、麻枝准、久弥直樹、樋上いたる、折戸伸治ら開発スタッフの大半がビジュアルアーツに引き抜かれ、Keyを立ち上げることとなった(主要スタッフでTacticsに残留したのはプロデューサーのYET11のみであり、YET11も2000年にネクストンを退社している)。
1999年4月にKIDより『輝く季節へ』というタイトルでPSに移植されている(ちなみに発売はPS版『ToHeart』の翌週だった)。が、既に主要スタッフの大半がKeyに移籍した後ということもあって、主要スタッフ不在のままで進められた移植であった(そのため、スタッフロールにPC版開発スタッフの名前が登場しない。追加CGも樋上いたるのものではなく絵柄を似せた別人によるもの)。約1名PS版からの追加キャラも居るが、PS版の存在自体がほぼ無かったことにされているのが実情である。ただし、PS版のビジュアルファンブックにはPC版開発スタッフのインタビューが掲載されており、貴重な資料となっている。
館山緑による小説版(全4巻)は、著者の独自解釈の混じる部分もあり否定的な見解もあるが、当時の美少女ゲームのノベライズでは珍しかった「1ヒロイン1冊」の形態を取ったことで、原作のストーリーを破綻させることなくノベライズした点で評価されている(当時の美少女ゲームのノベライズは、1冊に無理矢理全ヒロインのルートを詰め込んだために破綻しているものが大半だった)。その後清水マリコによる『Kanon』のノベライズが同様の形態を取って成功したことで、人気タイトルにおいては「1ヒロイン1冊」のノベライズ形式が浸透していくことになる。
また、ムービックから発売されたドラマCD(全3巻)は小説版がベースとなっている。1巻(長森瑞佳編)は皆口裕子の好演により、また3巻(川名みさき編)も、PS版では「イメージと違う」と不評だった雪乃五月(現:雪野五月)の演技がかなり原作のイメージを尊重したものに改善されたことで評価が高い。2巻(里村茜編)は、小説版で採用された著者のオリジナル設定(「城島司」という茜の幼なじみ)が引き続き登場していることで、小説版同様賛否両論である。
OVA版は全年齢版と成人向け版の2種類が存在するが、全年齢版は「全くの別作品」と言っていいほどに原作から乖離した内容になっている。一方成人向け版は概ね原作に忠実である。
2002年、BaseSonから『ONE2 ~永遠の約束~』が発売。もちろん本作の主要スタッフは関わっておらず、本作のキャラクターが登場するわけでもない。続編というよりは「永遠の世界」という設定を借りた姉妹作と言うべきである。発表当初こそ叩かれたものの、いざ発売されてみるとゲームの出来自体はそれなりにまとまっており、「『ONE2』というタイトルで無ければ普通に良作」という評価に落ち着いた。しかし『ONE2』として発売しなければ注目されることも無かっただろう、という点では色々な意味で不遇な作品であると言える。
2003年、ネクストンからフルボイス版が発売。現在はダウンロード版で入手できる。
主な制作スタッフ
ニコニコ動画での扱い
ゲーム自体が古いため関連動画は少なく、寧ろEFZ(黄昏フロンティア作の同人ゲーム)のキャラとしてEFZ及びMUGEN動画で見かける場合の方が多い。MUGEN内では、初期のころはUNKNOWNの移植改造キャラであるイグニスUNKNOWNが原作そっちのけで有名になっていたが、最近は他のキャラも余りにも凄まじい個性を買われてギャグ要員にされたり、ファンによって主役に抜擢されたりとなんだかんだで活躍の場を拡大している。
「無限の世界」で出会った彼女らに引き留められて、本作品を手に取る人がいる…かもしれない。
えいえんは、あるよ
EFZでは、永遠の世界の案内人であるUNKNOWN(コールネームは「みすか」)がラスボスとして登場。プレイヤー版もおり、飛行とワープを始めとする凄まじい機動力と高火力の飛び道具、かわしづらい起き攻めと切り返しを持つが通常技、必殺技ともに強くないため総合的にはやや下とされる。
MUGENでは改編神キャラのイグニスUNKNOWNが非常に有名で、相手の攻撃を自在に回避するAIと「えいえんのせかい」を再現した強力な時限即死攻撃でニコニコMUGEN初期から活躍している。その後紆余曲折あって「神オロチの嫁」という二つ名が定着、現在は娘もいるそうである…まさか10年も後になって、ONEとは全く関係ない所で、しかも生前とは3重にかけ離れた姿のまま、人並みにありふれた幸せを得ることになるとは本人も予想だしていなかったに違いない。※「少なくともEFZのUNKNOWNは」折原みさおである。とした場合。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
http://dic.nicomoba.jp/k/a/one%20%E3%80%9C%E8%BC%9D%E3%81%8F%E5%AD%A3%E7%AF%80%E3%81%B8%E3%80%9C
読み:ワンカガヤクキセツヘ
初版作成日: 08/05/20 21:47 ◆ 最終更新日: 12/08/28 15:57
編集内容についての説明/コメント: YET11氏のその後と、PS版の発売元を追記。
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