韓国の金融委員会と銀行、保険会社、証券会社、貯蓄銀行は8、9の両日、ソウル駅などで旧正月の帰省客を相手に約30年ぶりに「貯蓄増大キャンペーン」を行う。
金融業界の関係者が街頭で「知っておくと役立つ貯蓄商品」を紹介するパンフレット10万部を配布し、財形貯蓄、物価連動国債、貯蓄年金、年金保険などをPRする予定だ。金融業界全体が一斉に貯蓄キャンペーンを行うのは1980年代以降初めてのことだ。
金融機関が大々的に貯蓄を呼び掛けるキャンペーンを打つのは、家計貯蓄率が低下の一途で、経済協力開発機構(OECD)加盟国で最下位に転落したためだ。2011年の韓国の家計貯蓄率は2.7%で、フランス(16.2%)、ドイツ(10.4%)、米国(4.2%)などに比べはるかに低かった。
しかし、貯蓄率の低さを理由に貯蓄増大キャンペーンを行うことには賛否両論がある。家計の貯蓄が少ないのは、貯蓄意欲が低いのではなく、住宅担保ローンなどの増加で家計の債務が急増したことが主因だからだ。
マクロ経済的な側面で見ると、家計貯蓄率が低下すれば、投資財源の確保が難しくなり、成長潜在力が低下するという論理がある。しかし、これも経済全体で財源が不足していた発展途上期とは異なり、現在は企業が多額の内部留保を抱えているため、説得力を欠く。官民の貯蓄を合計した総貯蓄率は韓国が32%で、ドイツ(24%)、英国(13%)よりはるかに高い、
一方、銀行の内部事情をのぞくと、低金利環境で資金の運用先が見つからず、多額の預金が流入することを歓迎していない面がある。