税理士雇用保険問題:税理士にも失業給付 被雇用者増加、国が扱い変更

毎日新聞 2013年02月02日 大阪夕刊

 税理士事務所を退職したのに「自営業」とみなされ雇用保険の基本手当(失業給付)を受給できなかった大阪府内の男性税理士(50)が国に給付を求めて提訴した問題で、厚生労働省は税理士や弁護士など「士業」の被雇用者への失業給付の取り扱いを変更した。税理士会などに登録している場合でも、失業状態が確認できれば、原則として支給することになった。同省は「士業の被雇用者が増えている背景を踏まえて変更した」とし、原告代理人の弁護士は「提訴や報道を受けて行政が対応を改めたといえ、積極的に評価できる」と話している。

 男性は、自分の事務所を持たず納税者から直接依頼を受けられない「補助税理士」として2010年11月まで約1年半、他の開業税理士の事務所に雇われ、雇用保険の被保険者となった。退職で完全な失業状態となったが、資格維持のため税理士会の規定で「開業税理士」に登録変更したところ、「自営業とみなされる」として給付を受けられなかった。

 しかし、男性が昨年12月25日に提訴したところ、同省は先月25日付の職業安定局長通達で、こうした士業の労働者への失業給付の取り扱いを変更。公認会計士や税理士、弁護士などの被雇用者が事務所などを退職した場合、会の名簿などに登録していても、開業や被雇用の実態がなく、一定条件を満たせば、給付することにした。

 同省によると、士業への失業給付不支給を巡る国の労働保険審査会への再審査請求は今回以外にも過去3年間に2件(弁護士1件、弁理士1件)あり、審査会でも支給は認められなかった。

 今回の男性の場合、退職から1年以上経過しているため新しい取り扱いは適用されないが、代理人の藤原精吾弁護士は「国が訴訟にどう対応するか注目したい」としている。【稲垣淳】

 ◇救済へ合理的判断

 雇用保険に詳しい脇田滋・龍谷大教授(社会保障法)は「これまでの判断基準が実態を無視していた。企業に雇われる弁護士が増えるなど労働環境は厳しく、資格があれば生活できる時代ではない。増加する士業の失業者の救済へ合理的な判断だ」と話している。

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