積雪予報:都心、またハズレ 「大げさでは」苦情相次ぐ 気象庁は「セオリー通り」
毎日新聞 2013年02月07日 東京朝刊
6日に首都圏が大雪になるとした気象庁の予報は、都心部では積雪が記録されないなど「外れ」に終わった。1月14日に首都圏などを襲った大雪も予測できず、雪の予報の難しさが改めて浮き彫りになった形。同庁には「大げさだった」「電車が遅れたのは気象庁のせいだ」などの苦情電話が6日だけで30本以上寄せられたが、雪に脆弱(ぜいじゃく)で、予報に右往左往する大都市圏の体質こそ問題なのかもしれない。【池田知広】
気象庁は4日夕に▽雪を降らせるのに十分な寒気が入る▽南岸低気圧が大雪を降らせるコースを進む−−ことが予想できるとして、大雪に対する注意情報を発表。5日夜には24時間予想降雪量を「23区の多いところで10センチ」などと警戒を呼びかけた。
しかし、5日夕から6日夕にかけての降雪量は、積雪深計のある東京都心、千葉市、横浜市とも「ゼロ」。首都圏では一時的にうっすら積もった場所があった程度だった。
気象庁によると、予想よりもわずかに降水量が少なく、気温が高かったことが原因。南岸低気圧はほぼ予想通りに発達し進んだが、低気圧の進行方向にあった雲にエネルギーが分散されるなどし、雨雲が想定ほど強まらなかった。このため降水量が少なく、十分に気温が下がらなかった。
気象庁と同様、4日に大雪への注意を呼びかけた日本気象協会によると、先月14日の大雪と比べても今回は十分に寒気が入っていた。ただ、先月のケースは急速に発達した南岸低気圧が北から寒気を引きこんで、強い雨雲が1時間当たり最大8ミリ(都心)の降水をもたらしたのに対し、今回は雨雲が弱く、最大2ミリしか降らなかった。
気象庁は1月21日も東京23区の多いところで降雪量1センチと予想したが、22日に都心で雪は降らなかった。同27日には千葉県北西部で3センチの降雪を予想し、28日に千葉市で最大6センチの積雪があった。
一般的に「地上気温が2度台はみぞれ、1度台は雪、0度台で雪が積もる」と言われ、同協会の平松信昭・気象予報士は「予報は誤差幅のある気温や降水量に基づいている。社会に与える影響も大きいが、雪の予測は『難しい』の一言」と打ち明ける。