上図緑線を参考にしましょう。先が見通せぬ医療制度が世相に反映したかのように、健康食品の売上が急速な伸びをみせています。悪徳商法が蔓延るといってマスコミに叩かれ、一部の医療関係者から反発されながらもこうして伸び続けるのは、健康を守るための手段として健康食品が大いなる期待を寄せられている証拠です。
ヤクルト、クロレラ、青汁から始まって長い間低迷を続けていた健康食品も、90年代後半のアガリクスというキノコの出現から一転して、国民の視線を浴びるようになりました。そして2000年代になると、ウコン・深海ザメ・カバノアナタケ・フコイダンなど、新種の健康食材がネット販売によって雨後の竹の子のように現れては消えるといった様相を見せております。
冬虫夏草はご存じのように中国を代表する漢方薬の王様です。清王朝中期(西暦1760年代)の医学書「本草従新」に記されて以来、中国の皇族らから最も貴重な薬草として愛用され、すでに250年に亘って万薬の頂として他の追随を許さぬほどの実績を持ち続けています。
日本人の多くが愛用し始めたのは12年前のこと。ドイツで1993年に開催された陸上競技世界選手権で、一挙に11個の世界新記録をマークした「馬軍団」と呼ばれる中国女子選手団が、驚異的な強さの秘密を「冬虫夏草を食べながら練習した」と、世界のメディアに明かした時からでした。
乱獲と、酸性雨による山肌の環境が変わって、大収穫地のチベットや中国青海省でも、本物の採取が困難になっています。良品の価格が沸騰し、代わってニセモノが氾濫している現状から、漢方薬の主役として実績を誇った冬虫夏草は、上図赤線のように健康食品の舞台から消えようとしています。
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