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政治
【主張】電力の大幅赤字 暫定再稼働の道はないか
東京電力など電力各社の今年度決算が大幅赤字となる見通しだ。原発再稼働のめどが立たず、火力発電用の燃料調達費が膨らんでいるためだ。
このままでは電気料金の追加値上げも避けられない。安倍晋三政権が目指す経済再生にとっても深刻な事態といえる。
いま必要なのは、安全を確保した上で原発を暫定的に再稼働させることだ。原子力規制委員会が安全基準をまとめるのは7月だが、それから再稼働を判断したのでは電力不足と再値上げの回避に時間がかかり過ぎる。
活断層の調査対象でない原発などは、一定の基準の下で再稼働できるのではないか。
安倍首相は民主党前政権の無責任な「原発ゼロ政策」を「ゼロベースで見直す」と約束した。そうであるなら、電力の安定供給と日本経済再生のために早期再稼働の実現に尽力してもらいたい。
東電は今年度の連結決算で1200億円の最終赤字を見込む。円高修正に伴い、燃料の輸入コスト増で赤字が大幅に拡大しているためだ。原発停止が長期化する中で他の電力会社も事情は同じだ。原発を保有しない沖縄を除き、今期は全ての電力会社が最終赤字を計上するという。
再稼働の遅れがもたらすコスト増は、電気料金に跳ね返る。東電は昨年9月、家庭向けで平均8%超の値上げを実施したが、それも来年度からの柏崎刈羽原発一部再稼働を前提にしたものだ。再稼働がないまま今後も円高修正が続けば、再値上げは避けられない。
関西電力や九州電力も4月実施の値上げを申請中だ。両社とも一部原発の再稼働を料金算定に組み込んでおり、再稼働が遅れればさらなる値上げが必要という。国民生活や産業競争力に直結し、景気浮揚に重大なマイナスだ。
こうした事態を回避するためにも原発の再稼働が何より欠かせない。東日本大震災後、政府は全国の原発に非常用電源や注水機能の強化を義務づけるなど、過酷事故対策は着実に進んでいる。
まずは暫定的基準で再稼働を進め、安全性を段階的に引き上げる柔軟な発想も必要だ。規制委の新基準による審査には時間がかかる見通しだが、原発を止めるための規制であってはなるまい。
政府は安価で安定した電力供給のため、再稼働を主導する責務があることを強く認識すべきだ。
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