平成24年9月28日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ
スーパーコンピュータ「京」の供用開始、113番元素の合成、いじめ問題アドバイザーの内定、スポーツ振興基金、中央大学附属中学校の入学に関する問題、インクルーシブ教育、教育委員会制度、私学でのいじめ問題
平成24年9月28日(金曜日)に行われた、平野博文文部科学大臣の定例記者会見の映像です。
平成24年9月28日平野博文文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
2点、申し上げます。
まず1点は、理化学研究所におけるスパコン「京」の共用開始ということでございます。前々から申し上げておりましたが、平成18年度からの、第3期科学技術基本計画における国家の基幹技術として進めてまいりましたスーパーコンピュータ「京」と、これを中核とした革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ、いわゆるHPCIが、本日、共用の開始をされたということでございますので、今日までの関係者に心から敬意を表したいと思います。要は、いずれにしましても世界に冠たる「京」をいかに利用していくかというところが一番大事なところでございますので、HPCIは10ペタフロップスの計算性能を有する「京」を中核として、国内の主要大学等のスーパーコンピュータを高速ネットワークで結び、多様なユーザーニーズに応える利便性の高い利用環境を実現をしたということであります。したがって、これを使いながら、いろんな分野で数多くの科学的・社会的課題の解決に向けて寄与する画期的な成果が生まれてくるものと期待をいたしているところでございます。これが、理化学研究所の一つの大きな利用形態に対する共同運用が始まると、これが1点。もう1点は、113番元素の合成ということで、理化学研究所の森田浩介准主任研究員を中心とする研究グループが、113番元素の合成に成功をしたと、これも研究所の方から世に発信をしていると思いますが、私の方から一言御報告をしておきたいと思います。今回の成果は、113番元素について、これまで実験で確認されていなかった崩壊経路の確認に成功したもので、実際に合成されたことを決定付ける、極めて重要な我が国としても大きな研究成果だと思っているところでございますし、日本発の合成元素の名前が、日本初で周期表につく可能性があるということですから、非常に良い、うれしいことだと思います。したがって、今後の審査結果に期待をして参りたいと、こういうふうに思っております。これが第1点でございます。
もう1点は、今日までいろんな意味で、いじめ問題のアドバイザーについていろいろな角度からどういう方がいいだろうということで、担当部局で御議論を頂いて参りました。また、そのアドバイザーになっていただける方々の御了解も頂いたものですから、今日発表をして参りたいと思います。特に、このいじめ問題につきましての効果的な対応についてということで、国が適切に指導助言できるように9月5日策定の総合的な取組についてということで、国が多様な専門家をいじめ問題アドバイザー(仮称)として委嘱をすると。専門的な知見から助言を得られる体制を整備すると、こういうことで今日まで検討して参りました。多様な分野で活躍されている豊富な現場での実戦経験をお持ちの方々にアドバイザーをお願いし、11名の方が内定をしたところでございます。内定したアドバイザーを少し御紹介を申し上げます。「あいうえお順」でいきますが、元高校教諭で、カウンセリング的手法による生徒指導等を研究しておられる兵庫教育大学大学院教授の、新井肇先生。2点目は、教育現場に関わる豊富な臨床経験をお持ちの六甲カウンセリング研究所所長の、井上敏明先生。友人でも、親・先生でもない「ナナメ」の関係で高校生と語り合うという非常にいろんな角度から、学生と語り合っている「カタリ場」を実践してこられた特定非営利法人NPOカタリバ代表理事の、今村久美先生。警察OBで、自ら少年非行防止等に長らく取り組んでこられた前神奈川県警察本部 生活安全部長、江崎澄孝さん。御遺族としての立場から、いじめ相談や講演など子どもたちとの交流に継続的に取り組んでこられております、大河内祥晴先生。学校におけるコミュニケーション能力向上のための教育を、医療の側から支援をしておられる松山赤十字病院副院長の、小谷信行先生。御遺族としての立場から、NPO法人を立ち上げ、講演等の活動に精力的に当たっておられます、NPO法人ジェントルハートプロジェクト理事の、小森美登里さん。弁護士でもあり、自ら困難を抱えて帰る居場所を失った子どものシェルター的な運営をしておられます日弁連の子ども権利委員会の幹事であります、社会福祉法人カリヨン子どもセンター理事長、坪井節子先生でございます。元学校教頭・特別支援学校校長で、発達障害等の困難を抱えた子どもたちへの相談等を今日まで継続的に進めておられます、FR教育臨床研究所所長、共栄大学客員教授の、花輪敏男先生。また、不登校・引きこもり等の子どもたちの学校復帰に向けた取組を実践しておられます、開善塾教育相談研究所相談部長の、藤沢市の教育委員でもありますが、藤崎育子さん。「いじめ集団の4層構造理論」を明らかにするなど、いじめ問題の研究の第一人者でおられる、大阪樟蔭女子大学前学長でありますが、森田洋司先生等々にお願いを致しました。
アドバイザーの皆さん方には、重大事案への対応策や、いじめ問題に関する施策の企画・立案、専門的見地から、文科省に対する指導・助言を頂きたいと、こういうことでございます。あわせて、保護者等を対象としたワークショップでありますとか、国や各教育機関が開催する教員研修等で講師としての参加もお願いをしたいと、かように考えているところでございます。いずれにしましても、この11名、現時点で内諾を得ておりますので、早々に委嘱をいたしたいと思います。氏名等々についてはお手元にお配りをしているというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。私の方から2点でございます。
記者)
いじめ問題アドバイザーの関係なんですが、今回、国へ助言する立場のいじめ問題アドバイザーが、こうやって具体的に内定したということなんですが、いじめの総合対策の関係で国へのアドバイザーとの両輪として、現場での対策チームとしてのアドバイザーの検討もなさっていたと思うんですが、その現場の方のチームとしての進捗状況は、現在いかがでしょうか。
大臣)
これは当然、当事の御報告の中にも入れてございますが、都道府県・市町村・学校等々への支援チームということでは当然ある意味リンクをしていきますし、国へのアドバイザーをしてもらうアドバイザーの皆さんもそこへ講師として派遣されたりいたしますが、これは外部専門家をそれぞれの地域で活用していただくということで25年度の概算要求をいたしておりますので、そのことを含めて並行してこれから体制を作っていくと、こういうことに相成ろうかと思っております。いずれにしても、やっぱり一番、現場で動いてもらう体制も必要でありますし、何においても私は前々から言っていますが、二つあると思います。常時の状態でのチェックをしてもらうということと、起こった時にすぐ速やかに対応でき得ると、この機動性のある両面作戦でこれはやっていかないかんと思っていますので、そういう役割も担ってもらう支援チーム、これを都道府県・市町村の中で作っていただきたい。特に、都道府県を中心にそういう体制を確立をしていきたいと思っていますし、概算要求に予算要求をいたしていると、こういうことで並行して進めていきたいと、かように思います。
記者)
次に会計検査院、昨日の会見でもあった話なんですが、スポーツ振興基金の問題なんですが、日本スポーツ振興センターのスポーツ基金について、運用の在り方に見直しが必要なのではないかという指摘が、会計検査院からされています。その中で、その基金について在り方を見直すか、若しくはその250億円の基金について国に返還を求めるというような立場を検査院が明らかにしましたが、その点について対応を含め、どのようにお考えか意見いただけますでしょうか。
大臣)
そもそもその基金を作って支援をすると、基金の運用益によって支援をすると、こういうスキームで今日までまいりました。この時代の大きな流れの中で、運用益がなかなか出にくいと、こういう中で本当にこの基金による方式がいいのかどうかということ、ある意味もう一度有効的に活用する施策を考えなさいというのが会計検査院の指摘だと、かように思っております。したがって、我々としては会計検査院の意見を十分踏まえて、スポーツ振興の果たす役割を、より効率的・効果的にやるために、この在り方を検討すると、こういうことを今原局の方に私は指示を致しております。一方では、totoの部分があるじゃないかということもありますが、totoの資金でやっていくということと平行してやっていくわけですが、本来持っているスポーツ振興に対する支援を踏まえて、会計検査院からの指摘も十分に踏まえながら、より有効的に使わなければ駄目なんだということですから、より有効的な活用の仕方を考えていくべきだと、こういうふうに思います。
記者)
一昨日、ニュースに取り沙汰されました、中央大学の附属校の不正入試の関係なんですが、今回、理事長が裏口入学に加担したという形になり、またその直後に、学生の合格取消しをするということで問題になったんですが、その点についての所見。また、今回私立ということで、いじめ問題にも言えると思うんですが、神奈川県が積極的に対策に乗り出すことができなかったりだとか、また、文部科学省にそういうのを報告するルール作りがなかった関係、今回の問題について文科省に報告などしなかった経緯とかもあったようなんですけれども、そういった点についてどうお考えか、お聞かせ願えますでしょうか。
大臣)
本件、今、御指摘ありましたように、中央大学の横浜山手中学校におけることの御指摘だと、こういう理解をいたします。昨日、学校法人の方からこの案件について事実関係等々を、大学法人のそのことに対する対応・説明を、文科省としては受けたところでございます。事実関係につきましては、山手中学校の校長が、合格点に及ばない受験生の一名を合格させたと。あるいは校長が、法人内部での不適切であったとの指摘を踏まえて、合格発表の1か月後に当該受験生の合格を取消したということが報道されたということでございます。また、昨日の状況説明を聞いておりますと、学校法人の中でのこの問題に対する対処について御報告があった点が4点ございます。学校法人として第三者委員会を開いて、検証をしたと。2点目は、9月の24日の理事会での決定、すなわち理事長並びに学長が私的返納をすると、こういうことの報告。また、中学校長の処分については、今後検討するということで、再発防止策については今現在検討中であると、こういう御報告を受けたところであります。
したがって、私どもとしましては、入試というのは学校教育の根幹に関わる部分でありまして、その部分に混乱を起こしたということについては、極めて遺憾という立場でございます。しかし一方文科省としては、受験者はどんなところに関与があったのかと。今回の件は、受験者が全く関与されていないところでございますので、受験者に対する教育的な配慮を最優先して私は対処してもらいたいと、こういうふうに文科省としては要請を致しているところでございます。また、再発防止を含む学校法人の対応について、改めて報告するよう求めているところでもございますし、引き続き学校法人から報告を受けて適切に指導・対処してまいりたいと、かように思っております。
したがって、私学でありますとかそういうことではなくて、そこで学んでいる、学ぼうとしている子どもの立場に立って、私どもとしては学校法人のガバナンスと教学との関係をしっかりやってもらいたいという立場で、今後とも公立・私学かかわりなく対応していくと、こういうふうに思っています。
記者)
いじめ問題アドバイザーですけれども、大津のようにいじめがあって一部混乱してしまった場合に、このアドバイザーの方を派遣されて事態の収拾に当たるとか、検証に当たるというふうなことをされるお考えは。
大臣)
先ほどの御質問にもありましたが、都道府県での支援チーム、これも私は作りますから、そことの関係がまず機動的に動くんだろうと思いますし、こちらのアドバイザーっていうのはトータル、全体としてこのいじめ問題、特に命に関わる、いじめっていうのは私は大なり小なりあるんだろうと思いますが、特に命に関わるこの問題についてはしっかりした助言・提言を頂くとともに、それぞれの地域である支援チームにこういうふうにしたらどうだという、研修でありますとか、そういうところのアドバイスは当然していただくような形になろうかと思います。そういう意味で、いろんな現場で関わってこられた、いわゆる学者だけではなくて、いろんな角度からのアドバイザーを選定してきたつもりでございます。
記者)
発足の時期、動き出す時期としてはいつ頃を。
大臣)
このアドバイザーですか。もう一応内定を頂きましたので、早々に委嘱をいたします。これは元々皆様方にも言ってきたところでございますので、今事務的に、これ大体委嘱はいつ頃できるんですか、もうすぐできるんですか。
文科省)
もう来週には。
大臣)
そのぐらいのレベルであります。
記者)
いじめアドバイザーなんですけれども、恒常的な会議みたいなものを作って、アドバイザリーボードというようなことでいる形にしてもらうとか、特に個別にこの委員に意見を聞くのか、それとその何か大津のような問題があった時に意見を聞くだけなのか、それとも常に文科省が助言を求めていくという形になるのか、どういうものの仕方になるんでしょうか。
大臣)
基本的には、常勤という体系は取りませんが、定期的に集まっていただこうと、こういうふうに思っております。そこで、意見交換をさせてもらおうと思っておりますし、9月の初めに私どもが作りましたアクションプランの基本取組っていうのは考えておりますが、これについても進め方等々についてのアドバイスも、まずは頂こうかなということも考えておるところであり、要は定期的にお集まりいただくという形で考えております。
記者)
初会合は。
大臣)
初会合は先ほど言いましたように、正式に委嘱をして、その時に初会合になるのか、改めて開くかということもありますが、私自身もいつどうなるか分かりませんから、要はきちっとした内閣改造が行われて代われば、私はしっかりそのことは引き継いで、次の大臣にやっていただくということになると思います。
記者)
それは例えば、マスコミにも公開されるとか。
大臣)
公開したっていいと思いますよ。非公開にすべきかどうかは別にして。ただ、具体的な案件のところに入ってきた時には非公開にするかも分かりませんが、最初の初会合は、私は公開して、こういう方ですということもマスコミの皆さんに知っていただくことはいいんじゃないでしょうか。それも次の大臣が、御判断されることだと思います。大臣は入るんですかね、その会合に。入らないのかね。
文科省)
当然、お入りになると思っておりますが。
大臣)
最初はね、それは入るでしょうね。
文科省)
毎回、毎回、御出席いただくと邪魔者になると思いますが。
大臣)
邪魔、ということらしいです。ただ、しっかりと文科大臣としての意思は、お願いする以上は明確にお伝えをして、御協力を頂くと、こういうことになるかと思います。
記者)
去年の夏に、改正障害者基本法が成立をして、そこでインクルーシブ教育の理念というものが盛り込まれて、障がいのある子もない子も共に教育を受けると。異質な立場を受け入れるということでは、いじめ防止にもつながるような考え方であるような気がするんですけれども、改めてインクルーシブ教育の意義とですね、今後政府として国連の障害者権利条約を批准をしていくということなど、どのように取り組んでいかれるかお願いします。
大臣)
これは民主党内にも、インクルーシブの教育についての推進という御提言も頂いておりますし、私自身も基本的な考え方として、インクルーシブ教育っていうのはしっかりしなきゃいけないと、こういう認識にございます。そういう意味で、一番の根幹は、学校の現場で障がいを持っている人と持っていない人を分離してやるという考え方は、私は本来得策ではないと。なぜならば、学校出てから社会に出て行く時は一緒になるわけでありますから、学校の教育現場から、そういう持ちたくて持っているわけではない障がい者の方々と一緒に共有・共同すると、この考え方を教育現場の中から作っていけば、私は社会に出ても同じ思いで社会生活あるいは社会での活動ができると思っておりますから、私としてはこの問題については積極的に進めていきたいと、かように思っております。いろんな課題はあるんですが、しかし考え方の問題としてはそうあるべきということで、それぞれの考え方に基づいた施策になるように私は努めていきたいと、こう思っております。
記者)
教育委員会制度の在り方などをタスクフォースで検討中なんですけれども、結論が出るのが遅れているような印象があるんですが、それについて遅れているという認識なのか、どういうふうになっているのか、あるいは方向性についても教えていただけますか。
大臣)
これはタスクフォースで、省内で検討していることは事実であります。ただ、今回このいじめ問題に端を発した大津の状況等々、今検証をしていただいてますから、そういう状況も踏まえながら、教育委員会制度の在り方ということについては、結論を導いていきたい。一方、並行して、今日まである意味民主党が言ってきたこともございますし、いろんな御議論・御意見も頂いておりますから、そういうことも踏まえて、多少遅れておるという御指摘があれば、遅れておるかもしれません。しかし、じゃあ拙速にペーパーだけ作って、これで行きますというわけにもまいりません。大事なことでありますから、法改正を伴ってまでやるべきことと、今、現状の仕組みの改善でできることと切り分けて、今、検討いたしておりますので、トータルとして文科省はこういう教育委員会制度にあるべきだというところをしっかり固めてまいりたいと思いますので、多少遅れておる感はございますが、しっかりとした改正を作っていきたいと、かように思っております。私、国会での答弁でもしてまいりましたから、より学校現場に、本当に助けになる教育委員会制度とはどういう制度なんだと、こういうことも含めて今の現状抱えている教育委員会制度の課題もしっかり抽出した上で、あるべき教育委員会制度、名前を変えるかも分かりません、結論といえば。そういうことも視野に入れながら、しっかりとしたものにしていきたいと思っております。名前を変えるとかいうのを見出しにしないでほしいと思いますよ、今、検討中だと。
記者)
中央大学の件なんですけれども、理事長が学校入試に個別に口を出すということで、ガバナンスの問題があると思うんですけれども、今回の件について学校法人としてのガバナンスと教学の在り方というのは、大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣)
本来は、大学法人のガバナンスと教学という部分のところは、しっかりと整理されておかなきゃならないというふうに私は思います。私学の場合、特に学校法人と教学の部分、あるいは私学の独自性という部分で、ややもすると良くある課題だとは思いますが、本来は教学と運営の部分というのは住み分けをされて、その上でしっかりと連携を取っていくというのが一番好ましい姿だと思います。理事長が介入したかどうかというのは、まだ私は承知をいたしておりません。どういう介入の仕方を、例えば合否の検定の中に理事長が入ってきてやったとか、そういうことなのかどうかというのも分かっておりませんから、そこはしっかり大学の法人の中で検討し、第三者の中で御議論いただく、こういうことだと思っています。我々としては、ガバナンスと教学というのは本来はしっかり分離されてしかるべきだと思います。
記者)
大臣の母校ですが。
大臣)
大学はね。山手はちょっと良く分かりません。
記者)
その点について、OBとしての御意見は。
大臣)
いやいや、ですから先ほど冒頭で言いましたように、こういう入試という極めて重要なところで混乱を起こしたというのは、極めて遺憾というふうに思います。私、直接何やっとるんだというわけにはいきませんから、忸怩(じくじ)たる思いで、今、注視をしている。ただしっかりと、特に子どもさん、受験生に対しては何のあれもないんだと。そのことに対しては、教育的にも十分に配慮してもらいたいということを強く、これは担当の私学部の方に求めていると、こういうことです。
記者)
本日、名古屋市の私学で2006年に長女さんを自殺で亡くされた親御さん、いじめが原因だったのではないかということで、盛んに県などに調査をお願いしてきたんですけども、なかなかいい方にならなかったということで、行政が私学のいじめ問題と関わりを強めていくべきではないかというような趣旨の要請を、文部科学省にしております。私学でのいじめの問題に、どういうふうにして行政が対応をとっていくべきか、大臣はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
大臣)
今、御指摘の部分は、平成18年に起こった案件だと思いますが、当時16歳の女子生徒がかつて通っていた私立中学校におけるいじめを背景として、3年半の闘病の後に自ら命を絶ったと、こういう痛ましい事案でございます。そういう中で、学校現場と遺族の方々との間の話がいろいろあったというふうに伺っております。今日、実は11時に御遺族の方が文科省の方に来られるというふうに聞いてございましたので、事務方の方にはしっかりと誠心誠意対応するように、私の方から指示をいたしたところであります。今、御指摘のように、私は、公立だからとか私学だからとかいうことで区別しているものではありません。少なくとも子どもが自ら命を絶つと、こういうことは決してあってはならないというふうに思っていますので、公立・私立に関わらず、文科省としては子どもの命を守るという観点から、今後とも適切に、私は前面に出るべきと、対処しなければいけないと、こういう事案だと思っていますので、今日は御遺族の方が来られた時には誠心誠意対応をするようにと、こういう指示を致しているところでございます。
記者)
私学の自主性というようなところで、なかなか所管の都道府県も原因調査に踏み込めないような部分もあるのかなという感じもいたしておりますが、その部分は。
大臣)
確かにそういう側面、そういう一面はあると思います。文科省がややもすると、これは学校現場、都道府県の教育委員会の問題だと、こういうふうに内向きになってきたというのが文科省の今までの姿だろうと、私は反省しています。したがって、私学においても子どもの命を亡くすということは、私学・公立関係ないという思いで私は今後対処しなければいけないと強く思ってございますし、関係事務方にはそういう私の考え方を強く求めているところであります。
記者)
若干重複なんですが、いじめ問題のアドバイザーで、いろんな専門家の中からこの11名を選ばれたその人選、特にこの方を選ばれたというねらいと、あと委嘱式とかいうのは御予定あるのかというのを。
大臣)
どのような観点でこのアドバイザーを人選したかということでございますが、特に、私は学者という方々のアドバイザーということよりも、今日までいじめの未然防止であるとか、より教育相談など現場レベルでいろんな事案に対して対処をしてこられた方を中心に人選をしてもらいたいというのが、一番大きな人選のポイントでございます。3点ぐらい、その考え方でございました。一つは、いじめ、不登校、発達障がいなど困難を抱えた子どもに寄り添っている、あるいは相談に乗ってきた、こういう経験者、あるいは子どもの社会性を育む教育活動を実践してこられた現場の経験を持っておられる人。あるいは、弁護士や警察官として、少年事件や子どもの非行防止等々に関わってこられた経歴の方々ということで、より現場でそういうどういう局面かは別にして、関わってこられた方を中心に人選をしてもらいたい。また、いじめに遭われて残念ながら命を亡くされた御遺族という、そういう立場でこのことを考えておられる方々についても是非参画をしてもらいたいと、こういう観点で、この人選をお願いいたしたところであります。
記者)
委嘱式はありますか。
大臣)
これ、形式的なことになるんですが、私は、やってもいいと思います。私が、引き続きやるならば、やります。あとは、引継ぎ事項に入ります。必ずやるようにした方がいいと思うよ。
文科省)
はい、改造の状況なども見ながらですね、タイミングを考えたいと思います。
大臣)
まだ、明日までだったら間に合うぞ。
文科省)
準備などもあり、まだちょっと。
記者)
今日の閣議・閣僚懇で、改造について何か。
大臣)
全くございません。10分で終わりました。厳粛な閣議でございました。
(了)
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