レーダー照射:首相、公表で対抗…米と連携、国際世論訴え

毎日新聞 2013年02月07日 00時08分(最終更新 02月07日 01時18分)

海上自衛隊の護衛艦搭載ヘリコプターにレーダー照射したと思われるものと同型の中国海軍ジャンカイ1級フリゲート艦=海上自衛隊提供
海上自衛隊の護衛艦搭載ヘリコプターにレーダー照射したと思われるものと同型の中国海軍ジャンカイ1級フリゲート艦=海上自衛隊提供
中国が対米防衛ラインに設定した二つの列島線
中国が対米防衛ラインに設定した二つの列島線

 海上自衛隊の護衛艦が中国海軍のフリゲート艦から火器管制レーダーを照射された問題は、海洋進出に力を入れる中国と、それに対抗する日米の艦船・航空機がにらみ合う東シナ海の緊迫状況を国際社会に印象づけた。こうした軍事情報を公表した安倍政権の異例の対応には、軍事的衝突の回避を求める国際世論を味方に付け、中国側に挑発行動の自制を促す狙いがあるとみられる。日本側は不測の事態を避ける枠組み作りも呼びかけながら、中国側の出方を注視する構えだ。

 ◇中国が挑発、東シナ海緊張

 東シナ海では、昨年9月の日本政府による尖閣諸島(沖縄県)の国有化前後から自衛隊と中国軍のにらみ合いが常態化。米軍も昨秋、二つの空母部隊を西太平洋に展開していると発表し、日米が連携して中国をけん制する対立構図になっている。1月19日(日本時間)には米国のクリントン国務長官(当時)が尖閣について「日本の施政権を侵すあらゆる一方的な行動に反対する」と発言し、その後、中国海軍による海自護衛艦・ヘリへのレーダー照射が相次いだ。

 中国側から太平洋を望めば、東シナ海は海洋進出の「出口」にあたり、沖縄を含む日本列島は「ふた」となる。中国は日本列島から台湾、インドネシアを結ぶ「第1列島線」までの制海・制空権を確保し、それを伊豆諸島からグアムなどを結ぶ「第2列島線」まで押し広げることによって、太平洋の覇権を米国と争う姿勢を鮮明にしている。尖閣領有権の主張は海洋資源目当てとの見方は薄れ、安田淳・慶応大法学部教授(安全保障)は「通商上・軍事上のより大きな狙いがある」とみる。

 それだけに、不測の軍事衝突を避けるため日中双方が自衛隊・海軍を尖閣に近づかせない対応をとってきた。今回のレーダー照射が起きたのも、尖閣から100キロ以上北側の海域だったとされる。ただ、「艦と艦の間の3キロという距離は、人が1・5メートルぐらいの距離で刃物を向けられたようなもの」(自衛隊幹部)であり、日本政府は中国側の意図をつかみかねている。

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