次元先生の銃講座


 

 

 

 銃の話を聞きたい、だと?大して面白くねえぜ。 大体、素人が銃の解説なんざ聞いたって分かるとは思えねえが・・・・まあ、乗りかかった船だ。ルパンにも頼まれちまったしな。 

 それじゃ、とっとと始めるぜ。こう見えても俺は忙しいんでな。  

 さて。
 何から聞きたい?  

 銃と一口に言っても、普通のハンドガンからマシンガンまで様々だが、ここはまあ、誰もが知ってる銃の話でもするか。

 

 

 

<Smith & Wesson Model-19 Combat Magnum> 

 俺のオンナは、「コンバットマグナム」って呼ばれている。間違っちゃいねえが、フルネームも覚えてやってくれ。  

 中でも俺のオンナに関しちゃ知ってる連中が多いだろうから、詳しい説明は省略する(どうしても知りたいヤツは、ココをクリックしろ)

 コイツの前身は、かつてアメリカのサツの間で一世を風靡した「S&Wミリタリー&ポリス」っていうリボルバーだ。一頃はアメリカの警官の80%が、この「ミリタリー&ポリス」をぶら下げてたぐれえだ。今でもソイツに頼ってる警官が大勢いやがる。  

 この二つ、どこが違うかって言うと、早い話が357マグナム弾をぶっ放せるかってことだ。専門的に言やあ、「S&Wミリタリー&ポリス」に高重量銃身と調整可能な照準器を取り付けたのが「S&W M19」って事なんだが・・・・・ま、つまりマグナムを撃てるように改良したってこった。  

 「S&W M19」自体は今じゃ生産中止になっちまったが、コイツの基本性能は、そこらのオート拳銃とは比べモノにならねえくらい優れている。各パーツも反射的に扱えるし、手に馴染みやすい。357マグナム弾を使用する銃の中ではスリムで、スタイルもいい。マグナムって言うと、大抵は弾のパワーに対抗するため拳銃の方もゴツイ奴が多いもんだ。  

 実際アメリカじゃ、コイツでなければ仕事をしねえっていう同業者は割と多い。自分の信念を賭けたオンナってのは、そうおいそれと変えられねえもんさ。命を預けるに値する、そんなオンナだ。

 

 

<Smith & Wesson Model-29 44Magnum> 

 最近はどうだか知らねえが、ある程度トシくった奴には「ダーティーハリー」って言やあ、すぐに分かるはずだ。分からねえってガキは、親にでも聞いてみな。  

 あの映画の中でクリント・イーストウッドがぶっ放す「44マグナム」の本名が、「S&W M29」だ。ついでに、ハリー・キャラハンはコイツの6.5インチを使用している。  

 コイツの出所は、俺のオンナと同じS&W社。そのS&W社が「史上最大のリボルバー」って売り文句で発売したのが、この「S&W M29」だ。発売当時はまさに「史上最大のリボルバー」だった。おまけに「44マグナム」ときてる。威力にかけちゃ、今でもコイツに並ぶオンナはそうそういねえ。コイツで頭をぶち抜かれりゃ、撃った瞬間に頭が丸ごとなくなる。吹っ飛ぶなんて生やさしいモンじゃねえ、文字通り消し飛んじまう。まあ撃たれた方は、却って楽にあの世にいけるだろうけどな。  

 ああ?「44マグナム弾」と、俺が使ってる「357マグナム弾」、一体何が違うかって?  通常マグナム弾ってのは普通の弾より火薬の量が多いし、薬莢もでかい。だから威力がある。この「44マグナム弾」は、そういうマグナム弾の中でも一番威力がある。言ってみりゃマグナムの最高峰だな。  

 史上最大のリボルバーで、44マグナム。この二つが一緒になったら、巨象をも一発で倒すほどの破壊力がある。撃った時の反動も強烈だ。素人にはまず撃てっこねえ。拳銃を扱い慣れてる奴でも、気合いを入れねえと肩が抜ける。   

 要するに、人を殺るにはオーバーパワーってこった。ついでにクソ重い。総重量は1.3kgもあるからな。  

 確かに精度もいいし、迫力もあるが、実際には狩猟用のバックアップくれえしか使い道がねえ、まさに好きでなけりゃ持たねえ代物さ。

 

 

<PYTHON-357>

 この銃も有名だから、一度は聞いたことあるだろう。「コルトパイソン・357マグナム」だ。アニメの新シリーズを見た奴らにゃ、44口径コルトパイソンって言った方が分かるか。え、分からねえって?  

 ちっ・・・たく、本当に俺の話を聞く気があんのか?新ルパン・66話で殺し屋ビューティーが持ってたのがコイツだ。これで撃たれりゃ、車のドアだって弾が貫通する。頭にでも当たろうものなら、穴があくだけじゃ済まねえぜ。運良く当たったのが腕だったとしても、間違いなく腕ごと持って行かれちまう。こいつにワルサーで対抗しようってんだから、俺がルパンを止めた理由が分かるだろ。  

 何でそこまで威力があるかって?ふん、出来が違うからな。何せ、「リボルバーの帝王」「ハンドガンのロールスロイス」って異名があるぐれえだ。最近は品質が悪化してそれほどでもねえっていう同業者もいるが、出始めの頃の「パイソン357」は、拳銃の芸術品と呼ばれてもおかしくねえ出来だ。まず、精度がいい。見てくれもなかなかだ。メカニズムも一流。コイツの4インチを、「シティーハンター」の冴羽遼が持っていた。8インチのヤツは、オウム真理教の奴らが国松警察庁長官を狙撃するのに使ったっけな。   

 コイツも重さは大体1kg〜1.5kg。俺と同じ4インチサイズのもので、大体1.07kgってトコだ。リボルバーだから、当然装弾数は6発。名前の通り、357マグナム弾を装填出来る。  
 ちょっとここで話が逸れるが、さっき紹介した「S&W M19」と「S&W M29」、それからこの「コルトパイソン357マグナム」。こいつらは3つともリボルバーだ。だが、同じリボルバーでもS&W社とコルト社じゃ、大きな違いがある。そいつは、シリンダーだ。コルト社のシリンダーは時計回りに回るが、S&W社のシリンダーは逆に回る。だから何だって言われりゃ、それまでだがな。  

 このコルト社、少し前までは銃にかけちゃ、S&W社と並んでアメリカでは1、2を争っていた。  

 俺が過去形で言う理由、知ってるヤツは分かるだろう。コルト社は数年前、銃の一般市場から撤退してる。最近は銃規制の声も高い中、万が一事件でも起きて訴訟に持ち込まれて負けでもしたら、会社が倒産しかねないってのが理由らしいが、本当の所は分からねえ。この会社、数年おきに倒産の噂が出るからな。  

 それから、こいつはあまり関係ねえが・・・・コルト社のリボルバーには、何故か蛇の名前が付いている。コブラ、キングコブラ、アナコンダ、ダイヤモンドバック(ガラガラヘビ)。この「パイソン」だって、日本語に訳せば「ニシキヘビ」だしな。  一体誰の趣味なんだか、顔を見てやりてえもんだ。

 

 

 

<Beretta M92FS>  

 続いていくぜ。コイツも、一度ぐらいは聞いたことがあるだろう。いや、見たって言う方が早いか。  

 映画なんかじゃ、しょっちゅうコイツが顔を見せる。俺が知ってるだけでも、「リーサル・ウェポン」、「ダイ・ハード」、「ザ・ロック」、「男達の挽歌」、「フェイス・オフ」、話に寄れば「ロミオ+ジュリエット」・・・・まあこれは不二子の話だから当てにならねえが・・・・数え上げればキリがねえ。  

 この映画の中で、メル・ギブソンやブルース・ウィリス、ニコラス・ケイジといった俳優がぶっ放してんのが、ここで紹介するイタリアの超有名拳銃、「ベレッタM92FS」だ。  

 コイツは、今のアメリカ陸軍制式軍用拳銃だ。1985年から新しく採用されたみてえだな。米軍制式名は「M9」。  

 ちなみに、それまでの軍用拳銃は「コルト1911A1」、通称「コルトガバメント」。ご存知、銭形のとっつぁんが腰にぶら下げてるヤツさ。この「コルトガバメント」、総重量は1.2kg近くありやがる。撃ったときの反動も半端じゃねえ。軍隊経験豊富なベテランが扱うならまだしも、銃を握ったこともねえ新米兵士に扱える代物じゃねえ。ましてや、素人なら何をか言わんや、だ。

 ・・・おっと、話が逸れちまったな。  

 コイツは、イタリア・ベレッタ社の主力商品だ。元々は「M92SBーF」って名前だったが、それが縮まって「M92F」になった。陸軍が新しく採用するだけあって、「コルトガバメント」に比べりゃ女子供でも簡単に扱えるようになっている。そりゃそうだろうさ、コイツのフレームはアルミ合金だからな。重量も1kg未満と軽い。安全性も格段に高い。装弾数も15発と多い。どんな事態に陥るか分からねえような戦場じゃ、まさにうってつけってワケだ。  見てくれがいいから、マニアも多いらしいが・・・・人気だけが先走ってるような気もするんだがな、俺としちゃあ。  

 ああ、それからな。  

 脱線ついでにもう一つ、俺から忠告しておく。
 素人小説なんか読んでるとたまにあるんだが、カッコイイからって理由だけで、主人公にやたらゴツい銃を持たせてる小説がある。だが、銃ってのはゴツくなればその分反動もデカイっていうのが大体の相場でな。ましてや「44マグナム」なんて来た日にゃ、ベテランだって相当の気合いを入れねえと撃てっこねえ。いくらカッコイイからって、銃を持ったこともねえ主人公にあんまりゴツいモンは持たせねえ方がいいぜ。

 

 

 

<TT-1933> 

 コイツは、違う意味で有名になっちまった気の毒なオンナだな。暴力団の発砲事件や大量密輸で散々騒がれた「TT(ツーラ・トカレフ)1933」、通称「トカレフ」だ。  

 安いとかコピーしやすいとか、そんな悪評ばかりが目立っちまってるが、これでも旧ソ連軍制式軍用拳銃だった代物だ。中国やフィリピン辺りでコピーされた偽物と違って、本家ロシアのトカレフはマグナムにも引けを取らねえ、大したオンナだ。  

 普通のセミオート拳銃の弾は「38口径」だとか「45口径」なのに対して、このオンナは「トカレフ弾」と呼ばれる30口径の弾を使う。普通は弾が小さけりゃ威力もそれなりなんだが、コイツの場合は通常より火薬の量が多い。だから、勢いよく弾が飛んでいきやがる。勢いが良すぎて貫通力が高いって訳だ。どこかの会社が実際に計ったらしいが、そのデータによれば、トカレフの銃口初速は「490m/秒」。ルパンのワルサーで「340m/秒」、俺のマグナムでも「400m/秒」が精一杯だ。そいつを考えると大した速さだろ?

 おまけに、こいつは軍用拳銃だ。ということは、使用する弾もただの弾じゃねえ。鉄鋼も貫通させると言われるFMJ弾、通称「フルメタル・ジャケット」だ。5mの距離からこのオンナをぶっ放しゃ、3mm厚さの鉄鋼に穴があく。マグナム以外でこんな芸当が出来るのは、このオンナぐれえのモンだ。防弾チョッキなんざ、このオンナの前じゃ何の意味もねえ。チョッキごと体を貫通して、更にその後ろにいる人間まで巻き添えくらっちまうからな。だから、このオンナを止められる防弾チョッキはそうそうねえ。あっても普通のモノより値段が倍以上しやがるって訳だ。

 まあもっとも、貫通力が高いってことは、その分殺傷能力が弱いってことだ。相手を殺るにゃ不足だが、足止め程度なら充分だろうさ。

 それから、コイツのもう一つの特徴が安全装置が付いてねえってところだ。
 ああ?何故かって?
 そいつは、このオンナが出来た当時、戦争真っ最中だったって所に理由がある。とにかく大量に銃が欲しい、しかし従来のモンじゃ作るのに時間がかかるってんで出来たのが、このオンナだ。生産性重視のオンナだから、『安全装置なんて余計な部品付けてる時間があったら、その分銃を作れ』って訳だ。だからこのオンナ、数ある軍用ピストルの中でも一番部品が少ねえ。もっともロシアって所は兵隊の命なんざ屁とも思っちゃいねえからな、ちょっと扱い間違えりゃすぐにズドンと行く、なんて事ぁこれっぽっちも考えなかったろうけどな。

 今でこそ、制式軍用拳銃の地位は「マカロフ」に取って代わられちまったが、今でも「トカレフ」はあちこちの国が、制式軍用拳銃に指定している。悪名ばかりが先走ってるが、本物は決して捨てたもんじゃねえぜ。  

  あ、それから言っとくが、このオンナ以外にも、一見安全装置の付いてねえオンナがいる。「Glock」や「SIG」辺りが割と有名だが、コイツらに安全装置が付いてねえのは、何もトカレフみてえに生産性を重視したって訳じゃねえ。あれは最新式のハンマーレスタイプってんだ。見た目にそれらしいモノがついてねえだけで、安全性は高いから誤解するんじゃねえぞ。  

 


 最後に、日本一有名な拳銃の話をしようか。

<Walther P-38>

 おい、まさか知らねえ奴はいねえよな?ドイツ・ワルサー社の傑作、ナチスドイツ制式軍用拳銃「ワルサーP38」だ。  

 ルパンのおかげで、日本一有名になっちまったオンナだ。ヒトラーが自殺に使ったのもこの拳銃だったよな。他にはジェームズ・ボンドが使った「ワルサーPPK」ってのも人気が高いらしいが、知名度って意味じゃコイツの方が上だよな。  

 ルパンのオンナに関しちゃ知ってる奴が多いだろうから、今更説明する必要はねえだろう。(どうしても知りたきゃ、ココをクリックしろ)
 ましてや、ルパンが自分のオンナに施してる仕掛けなんか、わざわざ説明するまでもねえだろ?まったく、一発目が麻酔弾だったり、空砲だったり、素直に弾が飛び出さなかったり・・・・よくもまあ、こんな馬鹿馬鹿しい仕掛けを思いつくもんだと感心するぜ。本人は「護身用」だとかなんとか、もっともらしい事を言っちゃいるが、俺が見ている限り遊んでるとしか思えねえ。またこのオンナも、セミ・オートのくせにあちこちいじくられても健気について行きやがる。普通のセミ・オートだったら、途端に御機嫌斜めになるところだぜ。まあ、その応用範囲の広さってのがワルサーP38の特徴でもあるんだが・・・・・さすがはドイツ史上に残る名銃と言われるだけのことはある。  

 コイツは、今現在いわゆる「セミ・オートマチック」と呼ばれる拳銃の母体になった凄えヤツだ。今じゃ当たり前になっちまった「ダブルアクション機構」も、「ワルサーP38」が最初だ。他にも安全装置や構造など、コイツに影響を受けたオート拳銃は多い。さっきも紹介した「ベレッタM92FS」なんか、その筆頭だな。  

 だが、いくら名銃とは言っても、こいつは製造から60年以上経っちまったアンティークだ。「ワルサーP38」と名の付く銃は1945年で製造中止になっちまってるから、当然最近出てきた新型拳銃なんかにゃ敵うはずがねえ。だが、好きな奴にしてみりゃそんな事は関係ねえ。マニアとか、ファンなんてそんなもんだろう?  

 ちなみにルパンの奴、これ以上自分の古女房を酷使出来ねえと踏んだか、最近(漫画「ルパン三世y」)じゃ「ワルサーP99」に変えやがった。この「P99」は、装弾数16発。そのくせ重量は600gと軽い。「P38」の伝統をしっかり生かしつつ新しい技術を盛り込んだ、出来のいいオンナだ。見てくれも、いかにもルパンの好きそうな面構えをしてるしな。今度機会があったら、じっくり眺めてみな。

 

 

 

 さて、と。  

 こんなモンでいいか?  

 俺もそろそろ、行かなきゃならねえ。これ以上油売ってると、またルパンの奴がうるせえからな。  

 こんな話、二度と聞きたい奴がいるとは思わねえが、もし「また聞きたい」っていう奴がいたら、ここのサイトの管理人、月にそう言っといてくれ。

  気が向きゃ、またそのうち話してやるさ。もっとも、暇があればの話だがな。

 じゃあな。

   

(2004/03/19改訂)

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