
西野嘉之
慶応義塾大学大学院博士課程理工学研究科修了。07年に企業価値検索サービス『Ullet(ユーレット)』を開発。現在は新聞・雑誌などの各媒体で執筆活動を行うなど、多方面で活躍中。

ユーレットとは?
上場企業約4000社の決算書(財務諸表)や関連ニュース、大株主などの情報を、ワンクリックで表示。各企業の財務データをビジュアル的に把握できる、無料のサービスだ。 |
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“787騒動”に揺れる航空業界の今
例のボーイング787の影響で、1月の売上げが14億円減少するとANAが発表した。数年前にJALが破綻して上場廃止になり、去年再上場を果たしたが、その後間を開けずに再び航空業界に降りかかった今回のトラブル。ANAとしては、国内競争というよりも、グローバル化とLCCの格安航空会社にどう立ち向かうかを考えた末の、787の大量導入だったと思う。またジャパンブランドとして、787はボーイング社の飛行機ではあるものの、多くの部品は日本製であることから、日本経済にも一役買っていた。
今回のトラブルは、思った以上に各所への影響が大きく、また787が正常に飛べるようになるまではだいぶ時間がかかるようだ。発表によると、1年はかかるかもしれないという。どうして、こんなことになってしまったのか? 軽量化されたとしきりに言われていたが、なぜそんなに軽量化が重要なのか?
燃費の問題は当然ある。燃費が良くなったことで、これまでのようにハブ空港を介して、近くの都市へ行くのではなく、直接行くことができるようになったのだ。ビジネスマンにとっては、乗り換える時間や疲労が軽減できるというメリットがあるため、非常に好評であった。ANAとしては、売上を伸ばす成長戦略のために787を積極的に採用しただけに、今回のトラブルは非常にショックだろう。
いっぽうで興味深いのは、当然JALも787を採用しているが、世の中での報道に格差があるように感じられる点。ローンチカスタマーとして最初に導入を決めることで、大いに知名度を上げたかったANAは、宣伝やPRを787を使って数多く行った。その反動でトラブルが起きた時の悪いイメージも、目立ってしまったのではないだろうか? JALはどちらかというと様子見で始めたと思う。国際路線で名前を売りたかったANAが勝負に出たのだか、まさか運行停止になるほどのトラブルは想定していなかっただろう。
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