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2007年03月
学校改革のよきお手本
長野県旧真田町(現上田市)の小学校4校と中学校2校では、子どもの非行はゼロ。万引きや窃盗、校内暴力も皆無。不登校も、中学校でごく少数、小学校ではゼロ。学力も抜群で、教研式CRT観点別評定によれば、小学2年生の場合、全員(100%)が国語の上位グループ(全国平均66%)。
こうした成果は、上田市教育委員会の大塚貢教育長の努力によるものだ。大塚氏は、荒れた学校を何度も甦らせてきたが、その改革の柱は次の3つである。
【授業内容の充実】
全ての教師が、研究授業や公開授業を行い、「分かる・できる・楽しい授業」を創り上げている。
児童生徒による授業評価、保護者による学校評価を導入しており、「授業内容がよく分かる」中学生は92%(全国平均43%)。「わが子は生き生きと学校生活を送っている」と思う保護者は、小学1年生、6年生とも99%に達している。さらに、職業体験学習を通して、子どもたちが仕事の楽しさ、厳しさ、やりがいを実感し、親に対する理解が深まったという。
【心の教育−花づくり】
大塚氏は、酒鬼薔薇聖斗事件などの惨劇を引き起こした子どもたちがどんな学校で学んだのか、3度ずつ訪ねて観察した結果、どこも花がなかったり、雑草の中で枯れたままになっていることに気付いた。
自ら赴任先の学校に花壇を造って苗を植えたが、当初は子どもたちが無造作に入り込むため、多い日には80〜90本も植え替えなければならなかった。
だが、開花後は、誰もが大事に愛でるように一変。土をつくり、種を蒔き、水をやり、苗を育て、四季折々の花を咲かせるようになった。やがて、命あるものを大事にする優しい心が生まれ、イジメや暴力なども影を潜めたという。
【体の成育ー給食改善】
問題児は朝食抜きの子どもに多く、またコンビニ食の多い家庭ほど親子のコミュニケーションが少ない。そこで、パン食の給食を改め、地元産の安全なお米や新鮮な野菜を主にした、おいしくボリュームのある献立にした。以後、キレて暴力をふるったり、授業に集中できなかったり、貧血で倒れる子どもがいなくなった。また、アトピーやアレルギーの子どもが少なくなり、骨折なども減ったという。
大塚氏の取り組みは、荒れる学校の再生を願う教育関係者や父兄に対する福音となり、よきお手本となろう。