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ものづくり遺産をネットで残す
2月4日 14時7分

ものづくり遺産をネットで残す

全国にある産業系の博物館に所蔵された「ものづくり」に関する資料を検索・閲覧できるデータベース「ヒットネット」。
国立科学博物館が9年前から運営しています。
戦後の経済成長を支えてきた日本の「ものづくり」が大きな岐路を迎えるなか、ヒットネットの担当者は「こうした資料は、日本がこれまで蓄積してきた技術の証しにもなるので、未来に継承していくことが欠かせない」と話しています。

ミニ企画展「食の歴史~日本の産業技術」

延べ床面積3万平方メートルを超える東京・上野の国立科学博物館に、今、少し小さめの展示スペースが設けられています。
パネルなどで紹介されているのは、牛乳や酢、ハッカ、コーヒーといった“食”に関する4つの産業系博物館の資料です。
このうち、愛知県半田市にある「博物館『酢の里』」は、にぎりずしに合う酢が江戸時代に初めて酒かすから造られたことや、江戸まで酢を運んだ四斗だるなどを紹介しています。
また、北海道北見市にある「北見ハッカ記念館/薄荷蒸留館」は、乾燥させた日本在来の植物(=ニホンハッカ)から清涼感のあるハッカを作り出す方法や、最盛期には世界の70%のハッカが北見で生産されていたことなどを紹介しています。
これらの博物館の主な所蔵品や資料は、国立科学博物館がインターネット上で運用するデータベース=「ヒットネット」で閲覧することができます。

ヒットネットとは

ヒットネットとは

ヒットネットの検索は、キーワードを打ち込んだり、あらかじめ表示されている博物館名をクリックしたりして行います。
例えば、今回の展示でも紹介されている「牛乳」というキーワードを入力してみます。
すると、日本で最初のものと言われる牛乳瓶や世界のさまざまな牛乳パックの写真などが100件近く表示されます。
検索された資料は、原則としてそれぞれの博物館に展示されていて、足を運べば実物を見ることもできます。

ヒットネットの取り組み

ヒットネットは、日本の「ものづくり」の発展を示す貴重な産業資料を分かりやすく整理しようと、平成16年から運用が始まりました。
国立科学博物館の担当者が、全国の産業系博物館を一つ一つ訪問し、データベースの紹介と登録の呼びかけを行いました。
運用当初は4館だけだった登録博物館は、来月末には94館にまで増える予定で、およそ10000点の資料が検索・閲覧できるようになります。

「ものづくり」の証しを消さないために

「ものづくり」の証しを消さないために

国立科学博物館の担当者が最近心配しているのが、一部の博物館で続く入館者の伸び悩みです。
産業系の博物館のほとんどは、企業が運営しています。
厳しい経済状況が続くなかで、資料の展示・保存にあまり費用をかけられない企業が多く、博物館の担当者が総務などの仕事を兼務せざるをえないため、見学者への十分な対応ができないところもあるといいます。
こうした状況が続き、博物館が閉鎖する事態になってしまえば、保存されていた貴重な資料が失われてしまうおそれも出てくるのです。国立科学博物館産業技術史資料情報センターの大倉敏彦主任調査員は「産業系の博物館に保管されている資料は、日本がこれまで蓄積してきた技術の証しにもなるもので、未来に継承していくことが欠かせない。こうした資料を守るためにも、ヒットネットを通じて興味を覚えた博物館があれば、ぜひ多くの人に足を運んでみてほしい」と話しています。

〔ミニ企画展「食の歴史~日本の産業技術」〕
場所)国立科学博物館・地球館2階。
期間)平成25年3月3日まで。

〔ヒットネット・アドレス〕(NHKのサイトから離れます)
http://sts.kahaku.go.jp/hitnet/index.php

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