広島市の松井一実市長とＪＲ西日本広島支社の杉木孝行支社長は４日、０３年に廃止されたＪＲ可部線可部（安佐北区）以北のうち、約１・６キロを電化して復活させることで最終合意したと発表した。ＪＲが廃止路線を復活させる全国初の事業が、１５年春の開業を目指して正式に動き出す。

　可部線は０３年１２月、広島市中心部と県北を結ぶ約６０キロのうち、非電化区間の可部−三段峡（安芸太田町）間約４６キロが廃止。しかし、住宅地や公的機関などが集積する旧河戸駅周辺の住民からは復活要望が強く、市やＪＲ西が０８年９月から協議を続けてきた。合意した計画によると、概算事業費は約２７億円。可部から路線を延伸し、旧河戸駅付近に設ける終点（同区亀山南１）と、中間地点に新駅を設置。市やＪＲ西など関係団体でつくる「ＪＲ可部線活性化協議会」が事業主体となり、１３年度にも工事に着手する。

　記者会見で松井市長は「地域活性化のモデル事業となるように、ＪＲ西と地域住民と連携して取り組んでいきたい」と語った。杉木支社長は、沿線の人口が多いことを挙げ「一定の利用が見込める。収支が悪化しない範囲で地域交通ネットワークの強化・充実に寄与できる」などと説明した。【中里顕】