メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

話題のキーワード

社説

朝日新聞社説のバックナンバー

 大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の社説。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去90日分の社説のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。

2013年2月6日(水)付

印刷用画面を開く

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

レーダー照射―危険極まる中国の挑発

中国軍艦が先月、東シナ海で自衛隊の護衛艦に射撃用の管制レーダーを照射したと、小野寺五典防衛相が明らかにした。別の日には、海上自衛隊のヘリコプターにも同様の照射があったと[記事全文]

DNA型管理―法律にもとづき厳格に

この姿勢は腑(ふ)に落ちない。すみやかに見直す必要がある。犯罪の捜査や裁判で、きわめて大きな意味をもつDNA型資料の取りあつかいをめぐる警察当局の対応である。[記事全文]

レーダー照射―危険極まる中国の挑発

 中国軍艦が先月、東シナ海で自衛隊の護衛艦に射撃用の管制レーダーを照射したと、小野寺五典防衛相が明らかにした。

 別の日には、海上自衛隊のヘリコプターにも同様の照射があったとみられるという。

 状況に不明な点は多いが、一歩間違えば軍事衝突に発展しかねない危険な挑発行為だ。断じて許されるものではない。日本政府が、中国政府に抗議したのは当然である。

 日本政府が昨年9月、尖閣諸島を購入して以来、中国の公船が繰り返し尖閣周辺の日本領海を侵犯している。

 昨年12月には、国家海洋局のプロペラ機が領空を侵犯。その後、警戒する自衛隊機や米軍偵察機に対し、中国軍機が緊急発進するなど、空でも緊張が高まっていた。

 ただ、今回のレーダー照射はこれまでとは質が違う。

 中国の軍部や世論の一部には「戦争も辞さず」という声さえ上がっているという。そうした声に押され、挑発をエスカレートしているとしたら見過ごせない。自制を強く求める。

 心配されるのは、こうした緊張状態が偶発的な衝突につながることだ。まずは危機回避のためのチャンネルづくりを、日中両国政府は急ぐべきだ。

 日中間ではここに来て、関係改善を探る動きがようやく始まっていた。

 先月には、公明党の山口那津男代表が安倍首相の親書を携えて訪中。会談した習近平(シーチンピン)総書記は、日中関係の発展のため大局に目を向けるよう求めた。

 ようやく見え始めた対話への糸口が再び遠のきかねない、今回のレーダー照射である。

 中国共産党は、尖閣問題で軍や国家海洋局などが連携して対応するよう、新たな組織を立ち上げた。そのトップは習氏だ。

 レーダー照射という行為まで習氏が把握していたのかは不明だが、責任は免れない。「大局」を求める自身の言葉とは全く相いれない今回の事態をどう考えるのか。

 日中の対立に、関係国も懸念を強めている。

 クリントン前米国務長官は退任前の先月、日米外相会談後の記者会見で、尖閣をめぐって「日本の施政権を損なおうとするいかなる一方的な行為にも反対する」と、中国の挑発行為を戒めた。

 中国は、この米国のメッセージも無視した形だ。

 力を振りかざす中国の姿に、国際社会は違和感を強めている。そのことを中国は自覚すべきである。

検索フォーム

DNA型管理―法律にもとづき厳格に

 この姿勢は腑(ふ)に落ちない。すみやかに見直す必要がある。

 犯罪の捜査や裁判で、きわめて大きな意味をもつDNA型資料の取りあつかいをめぐる警察当局の対応である。

 採取、保管、利用、抹消などに関する法律をさだめ、捜査に役立てつつ、人権侵害がおきない仕組みをつくるべきだ。そんな声に対し、警察庁は「国家公安委員会規則にしたがって適正に運用しており、法制化の必要はない」と反論している。

 新しい時代の刑事司法のあり方を議論する法制審議会の特別部会でも取りあげられた。

 しかし意見が対立したまま方向性を見いだせず、先日まとまった基本構想では、別途検討すべき課題と仕分けられた。「別途」の場が、いつ、どこにできるのかははっきりしない。

 社会の治安と個人のプライバシーという、一人ひとりにかかわる大切な問題だ。

 国民の代表でつくる国会で議論し、その結論を「法律」という形で内外に明らかにして、民主的コントロールの下におく。

 それが当然のことわりではないか。役所の意向でいかようにもなる「規則」で処理し続けるのは、筋がちがう。

 警察も立法に前向きだというのが、つい最近までのおおかたの受けとめだった。

 国家公安委員長が識者を集めてつくった研究会は、昨年2月に報告書を公表している。そこには「法制化をめぐる議論を踏まえ、DNA型データベースの抜本的な拡充をめざすべきだ」とある。席上、どんな法律が考えられるか、警察側がイメージを例示したこともあった。

 それがなぜ変わったのか。

 考えられるのは、法制化によって手足をしばられるのを避けたいという思いだ。

 いざ議論になれば、採取に裁判所の令状を必要とするか▽データベースに登録する容疑者の範囲をどうするか▽冤罪(えんざい)を証明するため弁護側が利用することを認めるようにするか――などの論点が持ちあがるだろう。

 ほとんどの容疑者が任意で採取に応じている現状のほうが、当局には好都合かもしれない。登録件数は先月末の時点で34万件を超え、規則のもとで順調に「拡充」している。

 だが、外国では法律にもとづく運用が当たり前だ。国を超えた捜査協力がますます必要になる時代に、国際標準に届かないやり方が通用するのか。よくよく考えるべきだろう。

 人々の理解と支持があってこその捜査である。「信じよ。任せよ」では立ちゆかない。

検索フォーム

PR情報

注目コンテンツ

  • ショッピング心とろける本格辛口酒

    会津の心を伝える酒蔵

  • ブック・アサヒ・コム団十郎―歌舞伎と脳科学

    50年来の幼なじみと語り合う

  • 【&M】きょうは、何の日?

    美人と一緒なら、毎日が特別な1日

  • 【&w】世界に一つだけの花束を贈る

    「物語を贈ろう」

  • 朝日転職情報

  • 就活朝日2014