福岡・天神:「自転車の押し歩き」指定に調整
毎日新聞 2013年02月05日 15時00分
自転車と歩行者の事故が多発している福岡市が、同市中央区天神の渡辺通り西側(約400メートル)を4月から自転車に乗らずに歩道を押して歩く「押し歩き推進区間」指定に向け、関係機関と調整していることがわかった。市は新年度の新規事業として、NPOと共に「安全教室」など自転車による事故防止の啓発活動も展開する計画も進めており、さまざまな取り組みを通して自転車事故減少を目指す。【関東晋慈】
市は4月1日に「福岡市自転車の安全利用に関する条例」を施行予定。自転車安全条例は全国11の自治体が制定しているが、「押し歩き推進区間」は全国で初めて盛り込まれる。市生活安全課によると、想定している区間は渡辺通り西側歩道の天神交差点から渡辺通り4丁目交差点まで。違反に対する罰則はないが、九州・山口最大の繁華街・天神で通勤時間帯を含めた人通りの多い昼間の時間を指定することで、事故抑制効果を狙う。
道路交通法では自転車は基本的には車道走行しなければならないが、道路標識などで「自転車歩道通行可」「普通自転車通行指定部分」とされている歩道なら走行できる。
今回の指定区間は自転車の歩道走行が可能で、市条例で区間指定された後も車道走行はできる。しかし、同市は「指定を予定している区間は自転車の車道走行が危険なため、歩道走行可能とされていた。指定により歩道を避けて車道を走行する人がいるかもしれないが、やはり押し歩くか迂回(うかい)してほしい」と話している。
一方、安全教室は、10、11年に国内外の自転車愛好家による大規模なレース開催などの活動をしているNPO「ツール・ド・フクオカ実行委員会」と実施予定。NPOのノウハウを利用して市民意識の向上を図る。
同市では自転車関連の事故が98年以降、14年連続で3000件を突破。車を含めた交通事故全体の約4分の1を占める。特に自転車が加害者となる歩行者との事故は09年から3年連続で50件を超え、増加傾向だ。同条例は、昨年2月に設置した有識者による条例検討委員会で素案を作成。昨年12月議会で可決、成立した。