【柔道】吉村前強化委員長、「強化担当理事」を辞任か

　ロンドン五輪代表を含む柔道女子１５選手が、暴力やパワーハラスメントなどで園田隆二前代表監督（３９）らを告発した問題で、選手の代理人を務める辻口信良弁護士（６５）らが４日、大阪市内で会見し、選手の声明文を発表した。告発の意図は監督交代だけではなく、全日本柔道連盟（全柔連）の「指導体制の抜本的な見直し」もあると明らかにした。現時点で訴訟などは考えていないが、旧態依然の組織改革を訴えた形だ。

　告発した女子選手１５人に批判された前強化委員長の吉村和郎氏（６１）が、５日の緊急理事会で現職の強化担当理事の辞任を表明する可能性が出てきた。吉村氏は５日にグランドスラム・パリ大会（９、１０日）が行われるフランス遠征に同行の予定だったが、この日に取りやめた。全柔連の上村春樹会長（６１）は「こういう中で選手にいい状況を作ってあげられないと、本人から申し出があった」と明かした。

　吉村氏は１９９６年から女子代表監督を務め、２００４年アテネ五輪後から全日本強化委員長に就任。激しい口調と厳しい指導で知られ、女子選手から恐れられる存在だった。０８年ロンドン五輪後に全柔連へ進退伺を出したが、新設された強化担当理事に“昇格”。昨年９月の時点で暴力行為が発覚していた園田前監督の続投を強く推していた。また、全柔連関係者によると、園田体制でコーチを務めてきた徳野和彦氏（３８）も辞任する模様。すでに欧州遠征に出発していたが、予定を約３週間早めて５日に帰国する予定だ。