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武器輸出 F35例外措置に課題
2月5日 4時34分

武器輸出 F35例外措置に課題
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政府は、次期戦闘機F35について、日本の企業が製造などに関わった場合でも、国際紛争の当事国への武器輸出を認めないなどとした「武器輸出三原則」の例外措置とする方向で調整を進めています。
ただ、日本で製造された部品が紛争当事国にわたるという指摘もあり、機体の譲渡に日本が関与できるかどうかが今後の調整の課題となりそうです。

政府は、アメリカなど9か国が共同で開発を進めている次期戦闘機F35について、日本の企業も製造や修理に参加させたいとしています。
そして、日本企業が製造に関わった場合でも、日本の防衛技術の向上や安全保障に資するとして、国際紛争の当事国への武器の輸出を認めないなどとした「武器輸出三原則」の例外措置とする方向で政府が調整を進めています。
ただ、F35はイスラエルが購入する可能性があることなどから「日本の企業が製造した部品が紛争当事国にわたることになり、三原則の理念に抵触するのではないか」という指摘が出ています。
このため、政府は機体を第三国に移転する場合は日本側の事前の同意を得るようアメリカに要請することなどを検討しています。
政府は去年、イギリスとの間で防衛装備品の共同開発に向けた「覚書」を交わしており、共同開発が進めば、今後、新たに武器輸出三原則との関係が問われる可能性もあるとみています。
このため、今回のF35のケースが今後の防衛装備品の共同開発や生産の在り方に影響を与えることも予想され、武器輸出三原則の理念を維持し、機体の譲渡に日本が関与できるかどうかが今後の調整の課題になりそうです。

武器輸出三原則と例外措置

「武器輸出三原則」とは「武器を輸出しないことで平和に貢献したい」として、昭和42年に当時の佐藤栄作総理大臣が国会で表明したもので、共産圏の国、国連決議で武器などの輸出が禁止されている国、それに国際紛争の当事国、またはそのおそれのある国への武器の輸出を認めないというものです。
当初は、アメリカに対する武器技術の輸出も原則禁止されていましたが、昭和58年、中曽根内閣は、アメリカ政府からの要請を踏まえ、アメリカへの武器技術の供与を三原則の例外とする官房長官談話を発表しました。
その後、平成16年に小泉内閣は北朝鮮による弾道ミサイル開発の脅威が高まったことなどを背景に、アメリカと弾道ミサイル防衛システムの共同開発や共同生産を行うことについても三原則の例外とすることにしました。
また、アメリカ向けに限らず、テロや海賊への対策などを支援するための輸出は、個別に検討し、そのつど官房長官談話を発表して、例外として認めてきました。
おととし、民主党の野田内閣は、紛争当事国への武器の輸出は認めないことは維持しながらも「日本の平和や国際的な安全保障を確保していくためには、アメリカとの連携を強化するとともに協力関係にある国との連携も必要だ」として、三原則を事実上緩和し、一定の条件のもとで、防衛装備品の共同開発や海外への移転を認める包括的な例外措置を決めました。
そして、去年12月には、この例外措置を初めて適用し、ハイチでの国連のPKO=平和維持活動で陸上自衛隊が使ってきたブルドーザーなどの重機をハイチ政府に供与することを決めました。
ただ、三原則の例外措置を巡っては、日本が開発に関わった武器などが紛争に使われる可能性があり、三原則の理念と矛盾するのではないかといった懸念が出ています。

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