民主党政権がほぼ3年にわたって休眠させてきた規制改革会議を安倍晋三首相が復活させた。経済再生へ向け、首相が掲げる3本の矢のうち、規制改革は成長戦略の核になる。その成否を握るのは、規制に守られた勢力の既得権益を突き崩せるかどうかだ。
規制改革は1990年代から漸進してきた。この間、通信、金融、土地利用などの分野は着実に成果を重ねてきたが、最近5、6年間はほとんど実績がない。改革の照準が農業、医療、教育、法務、雇用など既得権益者の抵抗が激しい分野に移ったからだ。
新たな参入を嫌う既得権益層が規制官庁や族議員と組んだスクラムは、改革を阻む岩盤と化した。これを打ち砕くのは骨が折れる。担当閣僚が改革を率先するよう、首相は規制改革会議を通じてにらみをきかせなければならない。
首相が会議の委員に大田弘子元経済財政相、金丸恭文フューチャーアーキテクト会長、鶴光太郎慶応大教授ら、改革への意欲に富む識者や経営者を集めたのは評価できる。一方、委員を支える事務局の体制が手薄なのは問題だ。
会議事務は内閣府が担当する。その陣容は民主党政権の行政刷新会議の事務局がほぼ横滑りした。
雇用や保育市場の改革に背を向けてきたのが民主党だ。その名残を引きずる事務局は一新したほうがよいだろう。また官主導の改革メニューにさせぬよう、意欲ある民間人を事務局に登用すべきだ。
内閣府が示した会議行程によると当面は医療、エネルギー、雇用について関係団体などからの聞き取りを続ける。それを踏まえて6月に報告書をまとめるが、報告書づくりを目的にしてはならない。改革を実行することが肝要だ。
たとえば、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を地ならしするために、農業と医療分野に照準を絞り、どの規制を、いつまでに、どう変えるか、具体的に示してはどうか。
インターネットなどによる薬の通信販売を制限していた厚生労働省は、最高裁判決を経てようやく規制の網を外した。司法判断が出ないと改革しないのは、行政府の怠慢といわざるを得ない。その点でも規制改革会議の責任は重い。
安倍晋三、大田弘子、金丸恭文、鶴光太郎、規制改革会議
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