原発:再稼働審査「3年では困難」 自民方針と食い違い−−規制委員長

毎日新聞 2013年01月10日 東京朝刊

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は9日の定例記者会見で、原発の再稼働の可否について自民党が3年以内に結論を出す方針を示していることに関連し、「36カ月(3年)で50基を審査すると、1基当たり20日で、常識的には難しい」と述べ、3年での再稼働審査は現実的には困難との見通しを示した。

 また、原子力施設が集中立地する青森県下北半島では、各施設の敷地内に限定しない広範囲の断層調査が必要だとの認識も明らかにした。

 田中委員長は、再稼働の審査期間について「どんなに早くても1基に最低、半年や1年はかかる」と指摘した。

 電力各社による安全対策の実施に時間がかかることが想定されることから、「事業者から3年以内に、50基の原発について次々に(再稼働の)申請が出てくると思えない」とも語った。

 ◇下北半島、広範な断層調査を検討

 下北半島周辺の海底断層については、複数の専門家が、活断層の可能性を指摘している。田中委員長はこの点への対応を問われると、「何もしないわけにはいかないんじゃないか」と発言。既に地震学が専門の島崎邦彦委員長代理に調査方法の検討を指示したことを明らかにした。

 さらに、下北半島で今年10月に完成予定の使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)と中間貯蔵施設(むつ市)について、「(12月までに策定する安全に関する)新基準に適合しなければ稼働は認められない」と述べた。

 下北半島にはこの他、東北電力東通(ひがしどおり)原発(東通村)や建設中のJパワー大間原発(大間町)など原子力施設が集中している。【中西拓司、岡田英】

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