金の粒食べよ〜。
さて、「金の卵」生む細菌を発見、研究 国際ニュース : AFPBB Newsというニュースがありましたね。
[biology]これは興味深い。/ぜひ蝉コロンさんの解説を頂きたい。細菌のウンコが金の塊ってことのようだし。 / “「金の卵」生む細菌を発見、研究 国際ニュース : AFPBB News” htn.to/eMevVw
— yu_kuboさん (@yu_kubo) 2013年2月4日
とのつぶやきをお見かけし、うんこ話なら僕がノッてくると思われているところが腑に落ちないけれどノッてきました。Nature Newsこれ Gold-digging bacterium makes precious particles : Nature News & Comment。論文これ Gold biomineralization by a metallophore from a gold-associated microbe : Nature Chemical Biology : Nature Publishing Group。個人的にはあんまり読む機会が無いんですけどねNature Chemical Biology。
金塊の表面で見つかる細菌だそうで、Delftia acidovoransという名前。納豆菌ではないようだ。金イオンてのは何でも生物にとって有害だそうで、これを水溶液から沈殿させて無毒化すると良い感じである。そのためにこの細菌はとある化学物質を分泌して金を沈殿させている。うんこだか卵だかみたいに細菌から金がぶりぶり出てくるんじゃなくて、血中の鉄分をカミソリとかに変えるスタンド、メタリカみたいな能力ですね。
こういうのはbiomineralizationと呼ばれていて、手元の辞書だと生体内鉱質形成ということで骨とか真珠ができる過程のやつだそうです。でも骨とかの文脈よりはやっぱ真珠とか材料工学っぽい気配がぐぐるとしてきます。
さて、今回の研究ではこの細菌のゲノムにまず注目したそうです。細菌にはnonribosomal peptide synthetase/polyketide synthase (NRPS/PKS)というのがあるらしい。非リボソームペプチド合成酵素/ポリケチド合成酵素。wikipedia:非リボソームペプチドにいろいろ書いてあるので参照されたし。こういう酵素群をコードする遺伝子のクラスターがある。こいつらは細菌が環境へ適応するのに重要で金属イオンにくっつく作用があったりするので、この辺が怪しいんじゃねということになった。
んでわあわあ言うとりますが、Daci_4754(delG)という遺伝子を潰してみると、細菌が金があるとこで(金イオンを無毒化できないので)増殖しなくなった(と、論文から読めると思うんだけどNature Newsの方ではgenesを潰しているみたいなので複数なのかな)。んで最終産物で実際に金を沈殿させる非リボソームペプチド/ポリケチドも見つかってdelftibactinと名付けられました。
過去にCupriavidus metalliduransという細菌についても似たような研究がされていたようで、もともと有用細菌分野は一攫千金を狙うハンターたちが犇めく世界ですが(誇張有り)、さらにゴールドラッシュが来るっぽいですね。
それにしてもこんな生物がいるってことはやっぱゴールドゴールドした環境があるんすかねと思ったけど、別に金イオンだけに特化した能力じゃなくてもいいのか。