韓国で増え続ける「家族殺し」、諸外国の3-4倍に

尊属殺人は3年間に54%増加

 韓国では「家族間の問題は家庭内で解決すべき」という認識が根強いため、深刻な問題が起こりかねない、と専門家たちは指摘した。韓国家族学会のキム・ギュウォン会長は「儒教的な伝統はなくなりつつあるが、依然として親は子どもを所有物にしようとし、子どもは義務を果たそうとしないため、家庭内の対立が常に内在している状況だ」と語った。

 専門家たちは家族間の殺人事件を「垣根殺人」と呼んでいる。家族という「垣根」の中で増幅した問題が「殺人」という最悪の結果を招くというわけだ。

 警察大のイ・ウンヒョク教授は「家庭内の問題だけでなく、社会的な抑圧や挫折感が、家族という狭い『垣根』の中で噴出するケースもある」と指摘した。社会的・経済的な問題に憤った人が「癒やしてほしい」と考えていた家族に癒やされないと感じたとき、そばにいる家族にやいばを向けることがあり得るというわけだ。

 東国大警察行政学科の李潤鎬(イ・ユンホ)教授も「外国と異なり、子どもが30歳を過ぎるまで家族と同居する韓国では、外的なストレスが身近な家族の間で爆発する傾向がある」と指摘した。

 一方、最悪の結末に至る前に、問題を解決できる社会的な環境が不十分だ、と指摘する声も出ている。刑事政策研究院のパク・ヒョンミン副研究委員は「家族の構成員がうつ病を患っていたり、家庭内暴力や家庭不和に苦しめられたりしている場合でも、いまだに『家庭内の問題』とする偏見がある。社会が家庭の問題にも積極的に関与し、解決できる社会的なシステムを拡充する必要がある」と話した。

イ・ジウン記者
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