東京電力は4日、福島第1原発事故の被害者に賠償金を支払うため国に申請していた6968億円の追加の資金援助について、茂木敏充経済産業相から認められたと発表した。追加支援は3回目で、支援総額は大阪府の年間予算規模にほぼ相当する3兆2431億円に上る。
東電は同日、2013年3月期の連結業績予想を下方修正。純損益は従来予想より750億円損失が拡大、1200億円の赤字になると発表した。原発停止に伴い、代わりの火力発電用の燃料費が膨らむため。損害賠償の支払いも本格化する。売上高は従来予想より150億円少ない6兆100億円を見込んだ。
賠償は、政府と電力各社がつくった「原子力損害賠償支援機構」が5兆円を上限に立て替え、東電が黒字化達成後に返済する仕組みになっている。
東電は昨年5月に認定された総合特別事業計画で、賠償額を2兆5462億円と見積もったが、想定を上回る見通しとなり、事業計画を一部見直し、追加支援を要請していた。新たな計画には、民法上の請求権が消滅する3年間を過ぎても賠償に応じる方針も盛り込まれた。
東電は昨年11月、国に対して賠償費用の負担を要求している。支援機構の川端和治運営委員長も4日、「現計画では(賠償が)進められないことが見えてきた段階で必要となる変更に取り組む」と国民に負担を求める可能性に言及した。
東電は、停止中の柏崎刈羽原発(新潟県)を4月から稼働させる計画。しかし、原子力規制委員会が安全基準をまとめるのは7月で、予定通りの再稼働は極めて困難だ。
東電の広瀬直己社長は今後の収益改善策について「必要な対策は打って黒字を目指すが今は新たな値上げについて申し上げられない」と述べ、電気料金の値上げは言及を避けた。
(中日新聞)