中国:全土の4分の1でスモッグ、6億人に影響
毎日新聞 2013年02月04日 20時51分(最終更新 02月05日 09時39分)
【北京・成沢健一】中国環境保護省は4日、1月24日に開かれた全国会議での周生賢(しゅう・せいけん)環境保護相の発言全文をウェブサイト上で公表した。それによると、1月の大気汚染は中国全土の4分の1、全人口の半数近い6億人に影響が出たという。
有害物質を含んだスモッグは1月10日ごろから中国の華北地方を中心に広がった。環境保護相は公表された発言で「最近の長時間、広範囲のスモッグ」としか言及しておらず、1月中旬から会議直前までの状況を説明した模様だ。スモッグは17の省や自治区、直轄市に及んだとしている。中国全土の4分の1だと約240万平方キロで日本の国土面積の約6.5倍に相当する。
「4分の1」は影響を受けた地域の累計の可能性もある。環境保護省は情報公開を求める声に押されるように1月下旬から大気汚染の影響範囲を公表している。特に汚染が深刻だった1月29日は約143万平方キロがスモッグに覆われた。この日を約100万平方キロも上回る日が全国会議の前にあったのか、あるいは面積の算出基準が異なるのかは不明だ。
環境保護相はまた、1年間に車が約1500万台増える状況が続く中で汚染物質の排出量も増え、7割前後の都市で大気が環境基準を満たしていないことも明らかにした。さらに、呼吸器や循環器の疾患を引き起こす微小粒子状物質「PM2.5」に対する国民の関心が高まっていることを認め、2015年までに濃度を5%下げる目標の達成に取り組む姿勢を強調した。
PM2.5をめぐっては、北京の米国大使館が独自に観測して「危険な状態」などと公表し、中国でも関心が高まった。中国の環境当局はより粒子の大きなPM10の観測データに基づいて汚染状況を発表していたが、実態と異なるとの批判が強まり、昨年1月からデータの公表に踏み切った経緯がある。
周環境保護相は「社会の関心が高い環境データの公表を進め、環境問題をめぐる対応の重要な指標としてもらう必要がある」と述べ、PM2.5の観測網の拡充と情報公開に努める考えを示した。