任天堂の特徴は、ハードとソフトの両方を供給する点にあるが、見方を変えればソフトは任天堂が仕様書やノウハウなどを公開しないかぎり、サードパーティーとよばれるソフトメーカーは開発ができない。任天堂のソフトが、サードパーティーにとっては“お手本”となるが、任天堂はすべての情報を公開しない。
前作のWii でも、「画質やセンサーの反応スピードなどのレベルがよくわからず、開発が遅れた」(大手ソフトメーカー首脳)という経緯がある。彼らがWii Uの開発で慎重になるのも無理はなく、これがソフト開発の遅れを招く一因になっている。
任天堂も手をこまねいているばかりではない。9年ぶりに組織を変更し、これまで携帯型と据え置き型で別々に行っていた開発を統合する方針を打ち出している。共通化を進め、開発のスピードアップを図るのが狙いだ。
任天堂の岩田聡社長は、「14年3月期は営業利益1000億円をコミット(約束)する」と、自らの進退をも示唆する決意を見せている。
ただ、「フリーミアム」(スタート時は無料だが、ゲームを続けるには追加コンテンツや追加アイテムを購入する)のソーシャルゲームやオンラインゲームが急速に普及しているなか、これまでの任天堂の成功モデルが通用しにくくなっているのもまた事実だ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)