過熱シグナルを上昇気流が飲み込むか、信用評価率がプラス転換=今週の東京株式市場
[東京 4日 ロイター] 今週の東京株式市場は高値警戒感を意識しつつも相場の「上昇気流」は依然強い見通しだ。好調な米経済指標を背景にリスク資産を買う動きは続くとみられる。信用評価損益率のプラス転換など過熱シグナルが点灯しているため、短期調整はあり得るが、個人投資家や海外勢の買い意欲は旺盛で押し目は今回も小さい可能性がある。為替市場で円安が加速すれば日本株も上値を試す展開となりそうだ。
日経平均の予想レンジは1万0700円─1万1500円。
1日発表の1月米雇用統計やISM製造業景気指数は米景気の回復期待を高める内容となった。米株市場でダウ工業株30種.DJIは、終値で2007年10月12日以来約5年4カ月ぶりに1万4000ドルの大台を回復し、史上最高値も視野に入っている。グローバル投資資金の安全資産からリスク資産への流れが継続。東京市場でも週明けは海外勢の買いが先行するとみられる。
一方、市場の過熱感を示すシグナルとして信用評価損益率の改善が話題になっている。信用取引で株を買った投資家の評価損益の度合いを示す数値で、通常はゼロからマイナス20%程度で推移する。だが、日経新聞が30日発表の東証のデータを基に算出した三市場の評価損益率は5.28%とプラスに転換。岩井コスモ証券投資調査部によると、1973年からのデータで最も高い数字だという。松井証券の店内のデータでも31日時点で1.04%と郵政相場以来のプラスとなっている。信用評価損益率のプラスは異例のことであり、相場の強い過熱感を示す。これまでの調整は値幅、日柄ともに小規模にとどまり、日経平均の200日移動平均線とのかい離率が21%を超えるなど、テクニカル面での過熱感は一向に収まっていない。
ただ、松井証券のシニアマーケットアナリスト、窪田朋一郎氏は「ボックス圏相場であれば信用評価損益率のプラスは天井のサインだが、郵政相場のときはそれが当てはまらなかった。今回も当時に近い勢いが相場にある」と指摘する。評価損益率のプラスは過熱感も示すが、同時に個人投資家の資金状態改善も示唆することから、個人の回転売買の加速も期待できるという。 続く...