ロボットスーツ:2月末にも難病治療への臨床試験
毎日新聞 2013年02月05日 02時30分(最終更新 02月05日 03時16分)
筑波大発のベンチャー企業が開発したロボットスーツを、希少性難病の治療に利用する世界初の臨床試験(治験)が2月末にも始まる。国立病院機構新潟病院(新潟県柏崎市)を中心に全国約10カ所で実施。薬事法に基づき歩行改善効果と安全性を検証し、医療機器としての承認を目指す。
◇脚の筋肉の動きを補助、歩行を促す
ロボットスーツの開発製造会社「サイバーダイン」(本社・茨城県つくば市)が開発した「HAL」を活用する。脚に装着して筋肉の動きを補助し、歩行を促す。介護施設などですでに実用化されている福祉用HALは、筋肉を動かしたいという脳からの信号を検知、動いた情報が脳へ戻ることで、運動訓練になるとされる。治験に使用するHALは、医療用に改良を加えた。装着し、歩行訓練を繰り返すことで、自分で歩く能力の回復を目指せるという。
治験は中島孝・新潟病院副院長(神経内科学)を代表とする厚生労働省研究班が実施。脊髄(せきずい)性筋萎縮症や遠位型ミオパチーをはじめ、歩行が不安定になる希少性神経・筋難病疾患の18歳以上の患者が対象となる。
新潟病院や、国立精神・神経医療研究センター病院(東京都小平市)などで患者計30人を予定。1年をかけて結果をまとめる。中島副院長は「日本発の医療技術として世界に貢献したい」と意気込んでいる。
同社の山海嘉之社長(筑波大教授)は「欧州では行政が主導し、医療産業として育てる戦略がある。日本にも欧州のような戦略が必要だ」と説明している。【安味伸一】