【ニューデリー=五十嵐誠】ニューデリーで起きた女子学生への集団強姦(ごうかん)事件後、女性の安全確保に関心が高まるインドで、シン内閣は1日、強姦罪の最高刑を死刑とする刑法改正の大統領令案を承認した。ムカジー大統領が署名し、近く施行される見通しだ。
性犯罪の厳罰化を求める全国的なデモを受けて設置された政府の諮問委員会が議論していた。PTI通信などによると、強姦罪の最高刑が終身刑から死刑に引き上げられ、被害者が死亡、または植物状態になった場合に適用される。また、インドでは交際を断られた男が女性の顔に塩酸などをかける事件が横行しており、新たに酸攻撃罪を設け10年以上の懲役とする。ストーカー罪も新設する。
大統領令は署名から6カ月以内に国会の承認が必要。国会は今月下旬にも開会するが、シン首相は国会審議より先に大統領令での迅速な改正を選んだ。厳罰化を求める世論にアピールするためとみられるが、拙速との批判も出ている。
昨年12月にニューデリーの女子学生(23)が違法営業のバス内で集団暴行され、死亡した事件はインドに衝撃を与え、抗議運動が盛り上がった。事件で逮捕された6人のうち1人は少年(17)で厳罰は免れるため、少年法改正を求める議論も起きている。2日には殺人や集団強姦の罪で起訴された5人の公判があり、全員が無罪を主張した。