いわゆる「保守」の欺瞞
安倍晋三首相は1月31日の衆院本会議で、道州制の導入を定める「道州制基本法」の早期制定を目指す考えを示すと共に、「早期制定を目指して議論を行う与党と連携を深めて取り組む」と明言しました。
にも関わらず、「道州制反対」の声は、保守陣営から十分に上がってきません。
見て見ぬふり。
臭い物にふた。
安倍氏は、政界一の道州制の推進者として知られています。
チャンネル桜にしろ、三橋貴明氏にしろ、多くの保守ブログにしろ、いわゆる「保守」として知られ、安倍政権への支持を煽ってきた人たちは、なぜ道州制を推進し、国家の枠組みを解体しようとしている安倍政権を批判しないのでしょうか?
他の政党が、同じことをやろうとしていたら、いまごろ大騒ぎしているはずです。
安倍氏がやる道州制は、美しい道州制なのでしょうか?
参院選までは経済が優先だから、安倍氏が押し進める道州制を批判してはいけないのでしょうか?
道州制を批判することは、保守分断でしょうか?
むしろ、国家そのものを分断しようとしているのは、道州制を導入しようとしている安倍政権の方ではないですか。
これから、ますます厳しさをます内憂外患に、一致団結して立ち向かっていかなきゃならない時に、どうして国をばらばらに切り刻む必要があるのでしょうか。
安倍政権の推進する道州制の問題から目をそらし、批判をしない、いわゆる「保守」の人々は、日本の国を本当に愛しておられるのでしょうか。
国が切り刻まれ、その形が根底から変えられようとしている。そのような深刻な事態にも関わらず、今批判を手控えることは、売国と国家破壊に加担することです。国賊です。
日本の国を「保守」することよりも、安倍政権を「保守」することがそんなに大切なのでしょうか。
安倍政権への支持をさんざん煽っていながら、この重大な局面に口をつぐむのは卑怯であり、無責任ではありませんか?
日本が解体されようとしているのに、胸は痛まないのでしょうか?
今この国に、本物の愛国者はいないのでしょうか?
「王様は裸だ」と、立ち上がって本当のことを叫ぶことのできる、子どものような勇気と正直さを備えた人々は、この国にいないのでしょうか?
このまま、この国がばらばらに切り刻まれて、消滅していくのを、黙って見ていることしかできないのでしょうか。
いわゆる「保守」の人々によって、この国は解体されていくのでしょうか。
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コメント
まささん、考えていただきたいのは、なぜ安倍政権はこんなトンでもないものを導入しようとしているかです。うっかり間違えてこのような政策を織り込んでいるのではありません。「彼ら」の意図を、よく読み取っていただきたい。
投稿: WJF | 2013年2月 3日 (日) 22時20分
WJF様、大変丁寧な解説、ありがとうございます。
今までよく分からなかった疑問点についても、よく分かりました。
中野剛志さんについてはTPPのことを調べていた時に名前をよく見かけましたが、
紹介していただいた動画についてもこれから拝見したいと思います。
投稿: まさ | 2013年2月 3日 (日) 19時14分
WJFさん、私も西田さんの動画を見て「微妙だな~、ちょっと苦しいな~(言い訳)」という感想を持ちました。
西田さんの動画で、スッキリ納得とはまったくいきません。
週明けにでも、チャンネル桜で「道州制」についてふれてもらえないか、メールなり電話なりしてみようと思います。
話はそれますが、最近、時間が足りなくてチャンネル桜も半分も見れていません。その他の保守系チャンネルも増えたり、以前は団体・個人のデモ・街宣の動画もだいたい見ていましたが、最近は活動(動画)が増えてきて見切れないです。良い方向に増えていくことを望むばかりです。
私はまだ知識が広く浅くどころかチラシの薄さ位しかないので、たまっている書籍も読んでいます。また、行動することを第一にすることは忘れずに心がけたいと思います。
投稿: よしふる | 2013年2月 3日 (日) 13時24分
よしふるさん、西田さんのその動画は以前から存じ上げていますが、そもそも自民党の公約集になぜ「道州制」が挙げられていたかを西田氏は説明していません。それに政府は国会で道州制を「やる」とすでに明言しているわけです。西田さんの動画も、有権者に対する目くらましにしかなっていません。西田氏も私は以前は尊敬していましたが、三党合意による消費税増税にこの人も賛成し、手を貸してからは、今は眉につばをしてこの人の話をする聞くようにしています。自民党を「愛国政党」と擬装する役割を果たした「あちら側」の人間ではないかとすら疑いはじめています。(自民党には城内実氏のように議員生命をかけても、小泉郵政改革をとめようとした信頼に値する方もいるのですが・・・)「安倍さんだから大丈夫だろう」とか「自民党だから安心していればよい」とか、この手の全く根拠のない楽観論や希望的観測が、いわゆる「保守」の間で、あふれかえっており、本当に危機的な状況です。「保守」の人々によって国を壊される、しゃれにならない状況に日本はなりつつあります。
投稿: WJF | 2013年2月 3日 (日) 11時53分
『自民党の道州制』についてはほとんど知らず、貴ブログの記事で気になり、最近、問題意識を持った次第です。私も藤井聡先生などの意見を聞いて、依然から道州制は良くないと思っています。
少し情報を探したところ、西田昌司議員が『自民党の道州制』について触れている動画を見つけましたので、取り急ぎご紹介しておきます。
『週刊西田 一問一答』
http://www.shukannishida.jp/ichimonittou.html
「自民党政権公約に道州制が載ってますが?」はっちょさんからの質問(H24.12.4)
http://www.youtube.com/watchv=o_uHpf5Iq1k&feature=youtu.be
http://www.nicovideo.jp/watch/sm19502344
「どうしても道州制が気になるのですが・・・」皆さんからの質問(H24.12.11)
http://www.youtube.com/watchv=A2uljfZR9yM&feature=youtu.be
http://www.nicovideo.jp/watch/sm19554486
西田議員に質問が寄せられている様に、危惧・疑問にされている方々はいるようです。
『自民党の道州制』については、自民党・各政党の動き(政治側)、有識者(保守論壇)・世論(国民側)などの動きを注意していきたいと思います。
私も他の保守系ブログをいくつかさっと目を通していますが、『自民党の道州制』についてあまり(ほどんど)目にしません。
他の保守系ブログに、そのうち質問してみようかと思います。
『自民党の道州制』についての動向など、これからも取り上げて頂くと助かります。
投稿: よしふる | 2013年2月 3日 (日) 09時01分
90年代以降の日本の問題点は何だったでしょうか。どうしてかつては存在した「瑞穂の国にふさわしい資本主義」が破壊されて、「ウォール街から世間を席巻した、強欲を原動力とするような資本主義」が導入されてしまったのでしょうか。
それは、90年代以降、アメリカの圧力に押され、また、新自由主義という考え方に基づいて、「規制緩和」や「行財政改革」や「金融ビッグバン」や「構造改革」によって、国家の機能や障壁をできるだけ弱め、社会や経済の仕組みを「グローバル化」させてきたことと密接な関係があります。
道州制はTPPと同じく、中央政府の機能を弱めて、国家間の障壁を取り除く「グローバル化」の究極のものです。日本の国をいくつかの州に分けて、州政府を持たせ、それぞれの州が独立国のように振る舞う。日本を中国やアメリカのような連邦国家に変えるのが道州制です。
日本の各地域が州として独立することにより、国際資本や多国籍企業が、各州に直接投資をしたり、経済に参入しやすくなります。つまり各州と国際社会が、国家の障壁を飛び越えて、直接のパイプで結ばれるようになります。しかし、逆の面として、国際資本、つまり「強欲を原動力とするような資本主義」の直接の影響下に各州が置かれるということも意味します。「強欲を原動力とするような資本主義」を規制するのは、本来は中央政府の大切な役割ですが、中央政府の機能は道州制では弱められてしまいますから、道州制の下では、各地域は経済合理性に基づいて国際資本によって自在に改造されていくことになります。
現在の都道府県制は、奈良時代からの令制国という古い地域区分に基づいており、長い歴史と伝統に裏打ちされたものですが、道州制では、各都道府県のもつ伝統や文化や特色はやがて消滅していくことでしょう。
また自民党は、「30万人の外国人留学生の受け入れと生活及び就職支援」という実質的な移民政策を公約として掲げていますが、これが道州制が結びつくとどうなるでしょうか。仮に、特定の州に、中国からの移民が、集中的に住み着くとします。その移民が家族や子どもを増やしていきます。将来その中華系の移民たちが州の中で大きな発言力を得るようになり、「我が州は今後、中華連邦に帰属する」と分離独立を宣言することになっても、中央政府はどうすることもできなくなります。
特に、沖縄が、道州制によって、危険に晒されることになります。沖縄が州として独立すれば、沖縄の奪還をねらっている中国にやがて併合されていく危険性は現在以上に高まっていきます。
中国や韓国のように日本に敵対的な国の資本が、日本の各地域に直接参入しやすくなれば、仮にそれらの資本が森林や水資源を買い占めるようなことが起きても、中央政府は何も規制をかけられなくなります。
戦後の国政を見れば明らかなことですが、日本の政治家は簡単に外国勢力に籠絡されます。これが州単位で起きれば、ある州は、中国の勢力下に置かれ、ある州は韓国や北朝鮮の勢力下に、ある州はロシア、ある州はアメリカというように、外国勢力によって日本が分断され間接統治されるような事態も容易に想像することができます。
アジア情勢は今後ますます緊迫化し、中国の脅威や、北朝鮮の脅威が高まっていきますが、国防は国家の大切な役割です。国が一つになって、これらの脅威に対峙していかなくてはならないときに、国がばらばらの州に分離されて、中央政府の機能が弱められてしまったときに、力強く対処していくことはできるでしょうか。
近い将来、首都圏直下型地震、東海地震、東南海地震、南海地震が起きることが予想されていますが、巨大な災害に対応できるのは中央政府しかありません。日本のように自然災害の多い国が、ばらばらの独立国に分断されてしまっては、今後、被災地域を、日本の残りの地域が支えることもしにくくなります。
また道州制が特に危険なのは、それがTPPとセットになるときです。そして、実際にこの二つはセットで構想されています。その証拠に、道州制に賛成している政党のほとんどすべては、条件付きですが、TPP参加も同時に公約にかかかげています。道州制を導入して、しかも、TPPに参加した場合、日本の個々の州は、日本連邦ではなく、実質的には、TPP連邦の中に直接組み込まれることになります。TPP連邦とは、実質的には、拡大したアメリカ連邦です。つまり、日本の分断された各地域がアメリカ連邦の一部に直接組み込まれていくということを意味します。移民も完全に自由化されますから、日本の国柄もやがて消滅し、日本人が伝統的に培ってきた文化的な「強み」も失われていくことになります。道州制とTPPによって、実質的に「日本」という国が消え去り、アメリカに併合されることになります。
現在、ユーロの失敗や、アメリカの金融工学の失敗を経て、グローバリズムの問題点が浮き彫りになり、再び、国家の機能や障壁を高めていく方向に、世界は舵を切りつつあります。例えばイギリスではEUを離脱しようする声が大きくなり、アメリカのテキサス州でも、アメリカ連邦から分離独立しようという動きが活発になっています。世界は再び多極化の方向に向かって動き始めています。私たちの日本も、格差社会の進行やデフレの悪化を通して、グローバリズムの危険性や、国民経済を樹立し守っていくことの大切さを改めて学んだはずです。
安倍氏が本当に「瑞穂の国にふさわしい資本主義」を取り戻そうとするならば、道州制というグルーバリズムに迎合するような新自由主義的政策ではなく、中央政府の役割を強め、国家の機能と障壁を高める正逆の方向に進んでいかなくてはならないはずです。国家の働きを弱め、日本を州に分断し、日本の各地域を、国際資本や外国勢力に直接差し出してしまうのでは、日本はこれまで以上に「強欲を原動力とするような資本主義」の餌食となり、結果的には「美しい日本」の国柄が消滅してしまうことは、手に取るように明らかです。
道州制については、京都大学の藤井聡先生やTPPで有名な中野剛志さんがわかりやすく問題点を語っていらっしゃいますので、ごらんください。
http://www.youtube.com/watch?v=tbuCE1enqiw
http://www.youtube.com/watch?v=KB4f6p_q5Ac
http://www.youtube.com/watch?v=bCALxfxePGk
投稿: WJF | 2013年2月 3日 (日) 02時00分
道州制については私も不勉強で、恥ずかしながら質問するのですが、
道州制の何が一番大きな問題なのでしょうか?
ここ最近のブログを見ていますと、道州制について激しく糾弾されていますが、
なぜ道州制によって国家がバラバラになるのか、
なぜ道州制が「強欲を原動力とするような資本主義」を可能にするのか、
具体的な理屈がよく分かりません。
道州制によって一極集中が深刻化し、地方の財政危機が深刻になるのが問題なのでしょうか?
それとも古来から続く、地域独特の文化・風土が失われるのが問題なのでしょうか?
道州制の問題点について分かりやすく教えていただけないでしょうか。
もしくはそれについて解説してあるサイトや書籍などありましたら、教えていただければ幸いです。
投稿: まさ | 2013年2月 3日 (日) 01時16分