住宅除染完了2割弱 3月末、県内の汚染重点調査地域
東京電力福島第一原発事故に伴い放射性物質の汚染状況重点調査地域に指定された県内40市町村で、除染が必要とされる住宅は約37万戸に上り、今年度の計画数を達成しても、除染完了は全体の2割弱にとどまることが福島民報社の調査で分かった。いわき市などの実施数は未定となっており、戸数は増えるのが確実。仮置き場や人手の確保が課題で、除染作業は長期化する可能性もある。
調査は1月30日から2月1日にかけて実施。予定戸数は計36万5430戸で、最も多いのは郡山市の10万4200戸。このほか、福島市9万棟、白河市2万2837戸、伊達市2万1800戸などとなっている。
24年度の計画戸数は7万1676戸で、予定戸数全体に占める割合は19・6%。発注戸数は6万2096戸で17・0%と2割を下回った。完了戸数は1万1958戸、わずか3・3%と1割にも達していない。完了した住宅がゼロなのは、除染を予定している35市町村のうち17市町村と半数を占めた。
除染予定はあるが、住宅数を「未定」としたのは11市町村。いわき市は今後モニタリング調査を実施した上で対象住宅を決める。柳津、三島、矢祭、塙の4町は放射線量が低いなどの理由で除染計画を策定しておらず、予定数はゼロ。浅川町は除染計画を策定したが、ほとんどの地区で平均的線量が重点調査地域指定の基準の毎時0・23マイクロシーベルトを下回っており、「住宅除染の予定はない」とした。
今後の課題として「仮置き場の確保が進まない」との回答が目立った。天栄村の担当者は「大きな住宅が多いため、大量の汚染土壌などを現場保管することが難しい。どうしても仮置き場が必要」と話す。また、須賀川市は「必ず0・23マイクロシーベルト未満に下がるわけではない」として、さらに効果的な除染方法の確立を求めている。
()