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2013年2月4日(月)付

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日本原電―廃炉の道筋考えるとき

敦賀原発2号機(福井県)の真下を通る断層について「活断層の可能性が高い」とする報告書案を、原子力規制委員会の専門家会合がまとめた。敦賀原発を所有する日本原子力発電は強く[記事全文]

首相沖縄訪問―不信の源に向き合え

安倍首相が就任後初めて、沖縄を訪問した。「緊密な日米同盟の復活」は首相が経済再生とともに掲げる柱だ。だが、同盟を支えてきた足元が揺れている。在日米軍基地の74%を引き受[記事全文]

日本原電―廃炉の道筋考えるとき

 敦賀原発2号機(福井県)の真下を通る断層について「活断層の可能性が高い」とする報告書案を、原子力規制委員会の専門家会合がまとめた。

 敦賀原発を所有する日本原子力発電は強く反発している。他の電力会社からも「委員の専門分野が偏っている」といった批判がある。

 このため規制委は、別の専門家にも意見を聞いたうえで最終判断することにした。

 議論を尽くすこと自体に異論はない。ただ、敦賀2号機の断層は、専門分野を問わず委員の見方が一致している。新たなデータが出てこない限り、結論は変わるまい。

 そもそも、安全性に疑いがある原発は予防的な観点から動かさないことが、福島事故を踏まえた大方針のはずである。いたずらに決定をひきのばすだけの抗議なら、認められない。

 報告書案が正式に認められれば、原電は廃炉を迫られる。猛反発するのは、それが経営問題に直結するからだ。

 原電は電力各社が共同で設立した。ほかに休止中の原発が2基あるが、すでに運転期間が40年を超えていたり、地元が反対していたりして、再稼働のめどが立たない。

 敦賀2号機が廃炉となれば、収入源が途絶える。会計上の処理次第では、債務超過になるとの試算もある。

 従業員や地元の雇用・財政に与える影響はできるだけ避けたい。原電には廃炉作業中の原発も1基ある。使用済み燃料棒を含め、保守・保管がおろそかになってはならない。

 東京電力や関西電力が、原電からの電力供給が止まっているのに、契約の関係から維持費相当分を原電に払い続け、電気料金に転嫁している問題もある。これも看過できない。

 全国には活断層の可能性が指摘される原発が複数ある。新たな基準や知見に基づき、廃炉を余儀なくされる原発はまだ出るだろう。

 一度は国が運転を認めた原発だ。政府は傍観せず、課題を整理し、必要なコストをだれがどう負担するかを含めて、早急に対策を講じるときだ。

 そんなさなか、規制委の事務局である原子力規制庁の審議官が、敦賀原発の報告書案を公表前に原電に渡していたことが発覚した。あまりに緊張感に欠ける行為で、あきれるしかない。

 法律でどんなに独立性・中立性をうたい、専門家たちが信頼回復へと踏ん張っても、無自覚な官僚の一つの行動がすべてを崩す。猛省を求めたい。

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首相沖縄訪問―不信の源に向き合え

 安倍首相が就任後初めて、沖縄を訪問した。

 「緊密な日米同盟の復活」は首相が経済再生とともに掲げる柱だ。だが、同盟を支えてきた足元が揺れている。在日米軍基地の74%を引き受ける沖縄が負担軽減を求め、政府への異議申し立てを強めているのだ。

 沖縄との信頼関係を結び直して足元を固め、今月後半の訪米にのぞみたい。首相にすれば、そんな思いだったのだろう。

 信頼は結び直せたか。

 首相と仲井真弘多知事の会談は、残念ながら、従来の平行線を出るものではなかった。

 知事が米軍普天間飛行場の県外移設を求めたのに対し、首相が基地負担の軽減に努力するとしながらも、「普天間の固定化はあってはならない。米国との合意の中で進めていきたい」と述べたからだ。

 もちろん、首相なりに努力した形跡はある。

 首相は2013年度の沖縄振興予算の増額や、那覇空港第2滑走路の完成を早めることを強調し、知事は謝意を示した。

 普天間問題では、政府がいつ名護市辺野古の海の埋め立てを知事に申請するかが焦点だが、首相は訪米前の申請は考えていないと記者団に語った。

 沖縄の負担を考えれば、予算増額は理解できる。知事の承認を得るめどのない申請の見送りは当然のことだ。しかし、それだけで信頼回復がかなうはずはない。では、どうしようとしているのか。首相の考えがみえないのが残念でならない。

 沖縄の市町村長や議長らが先月末に首相に渡した「建白書」は、「差別」に触れている。世界一危険な普天間飛行場に、事故を繰り返す垂直離着陸機オスプレイを配備するのは、差別以外の何ものでもない、と。

 不信の源は、差別されているという実感だ。沖縄がなぜ、米軍基地の74%を引き受けなければならないのか。本土の人々による沖縄差別ではないのか。

 首相がなすべきは、この問いに耳を傾け、応えることだ。

 単に政権の問題ではない。本土の人々が、数の上では少数派の沖縄の人々に負担を強いている。総論で沖縄の負担軽減に賛成しても、ならばうちで引き受けようという地域が出てこない現実を、本土に住む私たち自身が直視しなければならない。

 首相が先頭に立って本土の人々に沖縄の現状を説明し、負担の分かち合いを説かない限り、「差別」の疑念は晴れないだろう。それをせず、日米同盟の深化といっても、足元から崩れることになりかねない。

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