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【杉本崇、編集委員・黒沢大陸】出力が100万キロワット以上の主要な火力発電所のうち、6割を超える40施設が地震発生確率の高い地域にあることが朝日新聞の調べでわかった。多くの原発で再稼働の見通しが立たない中、依存度が高まっている火力発電。暮らしを支えるインフラのリスクが浮き彫りになった。
【特集】インフラリスクのページはこちら国の地震調査研究推進本部が昨年12月に更新した地震動予測地図を使い、電力会社や特定規模電気事業者など計16社が持つ出力100万キロワット以上の火力発電所64施設の設置状況を調べた。その結果、人や建物に被害が出る可能性が高まる震度6弱以上の地震の発生確率が30年以内に「26%以上」とされる地域に40施設が立っていた。「50%以上」の地域でも33施設にのぼった。
地域別では、関東の全18施設▽東海の全9施設▽近畿の12施設のうち7施設▽四国の全3施設▽東北の5施設のうち2施設▽九州の7施設のうち1施設――が地震発生確率26%以上の地域にあった。太平洋側の地域に多いのは、近い将来、首都直下地震や駿河湾から九州沖に延びる海底のくぼみ「南海トラフ」で巨大地震が起きるとみられているためだ。
2011年3月の東京電力福島第一原発事故後、原発で再稼働したのは大飯(福井県)だけで、火力発電所への依存度は9割程度にまで高まっている。国は各火力発電所の耐震性能に問題はないとしているが、専門家の間では「原発事故前に稼働していなかった古い火力発電所が現在使われており、揺れや津波で壊れる可能性がある」との指摘もある。
東日本大震災では、福島県広野町や茨城県東海村などの火力発電所で津波によって発電設備や石油・石炭燃料の貯蔵施設が大きく損壊し、復旧までに2カ月以上かかった。
一方、電力と並んで重要なエネルギーインフラの都市ガス製造施設。国内には液化天然ガス(LNG)の受け入れ基地が計28施設あるが、このうち6割近い16施設が26%以上の地震発生確率地域にあった。50%以上は9施設だった。
全国の17原発では、女川、福島第二、東海第二、浜岡の4原発が26%以上で、唯一稼働している大飯原発は0・1%だった。
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〈地震動予測地図〉 海溝型や活断層型の地震の発生確率や地盤の強度などをもとに危険度を予測した地図。約250メートル四方ごとに示されている。地震調査研究推進本部が毎年更新しているが、地下に隠れた活断層や日本海での地震のデータは反映されていない。防災科学技術研究所のウェブサイト「地震ハザードステーション」で公開されている。
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〈インフラ〉 産業や社会生活の基盤となる施設。英語のインフラストラクチャーの略。電気、石油、ガスといったエネルギー関連のほか、学校や病院など生活に必要な社会資本も含まれる。高度経済成長期に造られた道路や橋などは、老朽化による危険性が指摘されている。
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