韓国の輸出と輸入を合計した貿易規模は昨年、1兆677億ドルとなり、前年に続き1兆ドルを達成。2002年に13位だった世界順位は、主要7カ国(G7)に当たるイタリアを抜いて8位に浮上した。しかし、韓国の輸出の中身をめぐっては、数字だけに酔って実態を無視しているとの批判も多い。
海外で韓国製の携帯電話端末、自動車、テレビなどが人気で、貿易規模は拡大しているが、韓国人の市民生活にプラスになっていると肌で感じられないためだ。輸出が経済成長に与える影響は過去に比べ小さくなっており、雇用も期待ほど増えていない。
■大企業主体の輸出の限界
「貿易1兆ドル、世界8強」といった言葉に対する感動がさほど感じられないのは、大企業に偏った輸出に限界があるためだ。韓国の輸出に占める大企業の割合は09年の62.8%から11年には66.8%へと上昇した。雇用が少ない大企業が輸出の中心となっているため、波及効果は以前ほどではなくなった。輸出が10億ウォン(約8500万円)増えると、2000年には15.7人の雇用機会が創出されたが、10年にはその数字が7.9人にまで減少した。
2000年代に入り、韓国の大企業が海外に現地生産拠点を相次いで設けたため、部品形態での輸出が増えたことも原因だ。中国への輸出の95%は中間財だ。輸出額は増えても、国内の下請け業者に対する恩恵は少なくなった格好だ。
大韓貿易投資振興公社(KOTRA)情報企画室のムン・ジンウク課長は「業界は部品輸出など韓国企業間での輸出が全体の30%を占めると推定している。完成品輸出に比べ、国内に与える効果が小さいのは当然だ」と指摘した。現代自動車の海外生産比率は半分を超え、56.7%に達している。