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【20キロ圏 遠のくわが家】

 福島第一原発の半径20キロ圏内が「警戒区域」に設定され、立ち入りが禁止された。年間で浴びる放射線量が20ミリシーベルト以上になるとみられる福島県飯舘村などは、20キロ圏外だが「計画的避難区域」になった。放射能汚染が生活を寸断する。現在検討されている一時帰宅の方法などをまとめた。

<いつ帰れる>解除の判断 秋以降

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 Q 警戒区域や計画的避難区域はいつまで続くのか。

 A 福島第一原発の事故が収束し、放射性物質の漏出を抑えられる状態になることが前提となる。東京電力は六〜九カ月かかるという工程表を示しているから、指定解除の判断は秋以降になる。

 Q 時間がたてば放射線量は下がるのか。

 A 水素爆発から一カ月余が経過し、半減期八日の放射性ヨウ素は既にかなり減った。半減期三十年のセシウムは地表近くに吸着したままで、放射線量は今後は減りにくいと考えられる。

 Q 放射線量を下げられないのか。

 A 放射性物質の付着した表土を取り除いたり、建物を洗ったり、樹木の剪定(せんてい)で、ある程度減らせる。費用がかさむほか、取り除いた土などの処分方法が課題となる。

 Q 帰宅できる放射線量の目安は。

 A 一〇〇ミリシーベルトを被ばくすると、がんで死亡する確率が0・5%上がるとされる。国際放射線防護委員会(ICRP)が、医療、自然放射能以外に浴びてよい上限としているのは年間一ミリシーベルトだ。

 年間に浴びる放射線量が二〇ミリシーベルトに達する恐れがある地区が計画的避難区域になったが、放射線を長期間浴び続けた時の健康被害のデータはない。帰宅を許可する放射線量の線引きは、難しい判断を迫られるだろう。

 Q 計画的避難区域は、自由に一時帰宅をしてもいいの。

 A 警戒区域と違って立ち入り禁止ではない。「車でなら通行できる」「放射線の影響を受けにくい高齢者なら戻れる」などきめ細かな基準作りを訴える専門家もいる。

 Q 長期間、離れて帰宅して元通りの生活に戻れるのか。

 A 農業を営む場合、土壌の汚染を除去する必要が出てくるかもしれない。二十二日、「警戒区域」「計画的避難区域」「緊急時避難準備区域」はコメ作付け制限の対象になった。作付け制限の基準は土壌一キログラムあたり五〇〇〇ベクレル超で、基準以下でなければ稲作を再開できない。

<一時帰宅>2時間 代表者だけ

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 Q 警戒区域が新たに設定された。

 A 福島第一原発から半径二十キロ圏内の区域で、原発事故前は約七万八千人が暮らしていた。災害対策基本法に基づき、菅直人首相が福島県知事と九市町村長に住民の立ち入りを禁じるよう指示。自治体は立ち退きの強制や立ち入り禁止を命じることができる。

 Q 二十キロ圏内は避難指示区域では。

 A 二十一日まではそうだった。避難の強制をできず、区域内で暮らしたり、立ち入ったりする人がいて安全確保が難しかった。地元自治体によると、警戒区域前は百数十人がとどまって生活していた。罰則のある警戒区域にすることで、立ち入りを厳しく制限することにした。

 Q どんな罰則なの。

 A 退去を拒むと、十万円以下の罰金または拘留が科されることがある。福島県警は半径二十キロ地点の主要道路十カ所に検問所を設け、六十五カ所に侵入防止柵を設置した。

 Q これまでに、警戒区域になった地域はあるの。

 A 原子力災害では初めてだ。台風や土砂崩れなど自然災害の後に安全確保を目的に設定されてきた。消防庁によると、二〇〇九年度は九道県で二十二回、設定された。

 Q 一時的に荷物を取りに帰ることはできないか。

 A 政府と自治体が、一時帰宅の調整を進めている。数日中に始める方針で、一、二カ月ですべての世帯を帰宅させる。枝野幸男官房長官は「一回限りではない」と述べている。原発の半径三キロ圏内と、放射線量が非常に高い地域への一時帰宅は許されない。

 Q 一時帰宅の方法は。

 A 地区ごとの住民が集まって政府が用意するバスに乗り、警察の先導によって移動する。政府が線量計や防護服なども貸し出す。参加は一世帯一人で、自宅にいられるのは最長で二時間程度。往復五時間以内に警戒区域外に出る。

 自宅から持ち出せるのは、財布や通帳、貴重品などバッグ一つに収まる程度に制限される。バスの荷物置き場のスペースは小さい。

計画的避難区域

 福島第一原発の半径20キロ圏内の「警戒区域」の外側だが、原発事故から1年間で、住民が計20ミリシーベルトの放射線量を浴びる恐れのある地域が指定された。20ミリシーベルトは、国際放射線防護委員会(ICRP)と国際原子力機関(IAEA)が定める緊急時の基準値の下限。

 対象は福島県飯舘村の全域と浪江町、葛尾村、南相馬市、川俣町のそれぞれ一部。原子力安全・保安院によると、区域の住民は約3000世帯、約1万人。避難は5月下旬がめどだ。

 原子力災害対策特別措置法に基づき、菅直人首相が22日、福島県知事らに指定を指示した。同法には、計画的避難区域の規定はないが、今回の事故で新たに考え出された。

 どこへ、どのように避難するか、政府と自治体が避難計画を作る。住民は持ち出せる家財道具や家畜などについて、自治体と相談することになる。

緊急時避難準備区域

 指定区域の住民は、福島第一原発から大量の放射性物質が放出されるなどの緊急時に、直ちに屋内退避や避難ができるような準備をしておく必要がある。

 同原発から20〜30キロ圏内で、これまでの屋内退避指示の地域が主な対象。福島県広野町の全域と楢葉町、川内村、南相馬市、田村市のそれぞれ一部で、いわき市の一部は対象から外れた。対象住民は約2万4000世帯、約6万7000人。

 屋内退避指示は解除されたが、屋内退避を続ける長期間の生活が難しくなったためで、放射線のリスクが減ったわけではない。政府は指定区域の住民、特に子供、妊婦、要介護者、入院患者に対し、自主避難を呼びかけている。

 区域内の保育所、幼稚園、小中学校、高校は休園、休校。通勤はできるが、緊急時に自力で屋内退避や避難をできることが条件だ。