大津・中2自殺:父「やはり学校が見殺し」…いじめ認定
毎日新聞 2013年01月31日 21時18分(最終更新 02月01日 01時45分)
「いじめが自殺の直接的要因」。大津市で11年10月、市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、市の第三者調査委員会は明確にいじめとの関連を指摘した。延べ56人から95時間の聞き取りをして作成された報告書は230ページに及び、学校や市教委の対応の問題点を厳しく批判した。父親は「いじめは常に死につながる危険な行為だと教師らは認識してほしい」と希望した。
◇同級生の回答「息子は天国から“ありがとう”」
息子の死の真相解明を求め続けた父親(47)は記者会見で「ここまでたどり着くことができたのは生徒さんが書いてくれたアンケートのおかげ。息子は本当に喜んでいると思う」と涙で言葉を詰まらせながら語り、「学校、市教委は責任と反省を明言し、今後の改善策を公言してほしい」と訴えた。
父親は、手元の文書を見ながらコメントを読み上げた。冒頭、長期間にわたる調査をした第三者委員と、協力した同級生らに対し感謝の言葉を述べて頭を下げ「息子は天国から今、『同級生に助けてもらった。ありがとう』と言っていると思います」と声を震わせた。
一方で「やはり息子は学校に見殺しにされたのだと思った」と憤り、「なぜ息子が発したサインに気づいてくれなかったのか、どうして私たち親に伝えてくれなかったのか」と学校側を批判した。大阪市立桜宮高に端を発する体罰問題へも言及し、「体罰問題も同じく、学校が意図的に隠蔽(いんぺい)すれば保護者は知るすべがない」と学校と教育委員会の可視化を求めた。【加藤明子、古屋敷尚子】
◇報道にも注文
報告書では男子生徒の自殺を巡る一連の報道について、「報道合戦は異常でセンセーショナルなものだった」と批判。「マスコミそのものの存在意義はどこにあるのかということが、各社、各記者本人に突きつけられている」と指摘した。
特に読売新聞が昨年12月23日朝刊で「委員が同級生3人による暴行など、少なくとも9件の行為を列挙し、自殺との因果関係がわかるよう立証したいとの考えを示した」と報じた記事について、「虚偽」とした。この報道を受け、加害行為をしたとされる生徒1人の聞き取り調査が中断されたとし、「委員会の調査に重大な支障が生じ、事実究明が困難となった」などと非難した。