貧困・犯罪は、社会がつくりだしたものであり、個人の自己責任に帰着させるのは間違いであるという説が、湯浅氏や浜井氏によって吹聴され、多くのブロガーは科学的根拠もなく、それを安易に信じている。
実は、貧困・犯罪の社会原因説が正しいためには、社会調査法の常識からは、以下の社会調査を科学的に実施する必要がある。 アルコール依存症、ギャンブル、女遊び、薬物依存、浪費癖、放浪癖、職業選択の選り好み、協調性の欠如などの自己問題要因を併せ持つ、ホームレスや犯罪者になった人間が、ホームレスや犯罪者の中でどれだけいるかを調査し、それが主たる生活に窮する要因になっているかどうかを調査することである。 上記のような調査は非常に困難だと思われるが、実はすでになされていると類推される。年間何千件とケースを処理する福祉ケースワーカーの調査や矯正保護の専門職員たちの分析調査があるはずである。現場の多くの社会福祉職員やワーカーや犯罪者処遇に関わる人たちからは、アルコール依存症、ギャンブル、女遊び、薬物依存、浪費癖、放浪癖、職業選択の選り好み、協調性の欠如などが原因で、職に就けず、ホームレスとなったり、犯罪に走るという声が聞かれる。 逆に言うと、失業しても病気になっても、つまり生活に窮しても、ホームレスになったり犯罪をしない人たちもいるわけであるが、そういう人たちはこれらの自己問題要因を抱えていないということである。 生活に窮しても、ホームレスや犯罪者になるかならないかは、自己問題要因を伴っているか伴わないかによる。 厳密に言うと、貧困・失業・孤立はホームレス化や犯罪の真なる原因ではなく、アルコール依存症、ギャンブル、女遊び、薬物依存、浪費癖、放浪癖、職業選択の選り好み、協調性の欠如などの自己問題要因が貧困・失業・孤立をつくりだすそもそもの原因となっているのである。 貧困・失業・孤立を防ぐために、生活保護・就労・コミュニティへの包摂を図ったところで、アルコール依存症、ギャンブル、女遊び、薬物依存、浪費癖、放浪癖、職業選択の選り好み、協調性の欠如という個人にまつわる問題性を解消しないと、再度、生活破綻を来たし、貧困・失業・孤立の状態に自己を追い込み、ホームレス化あるいは犯罪化するのである。 このように、貧困・失業・孤立とホームレス化・犯罪は、疑似相関関係である可能性があるにもかかわらず、科学的根拠なしに、あたかも主因であるかのごとく、実証的犯罪学者の浜井浩一氏等は唱えるのである。 アルコール依存症、ギャンブル、女遊び、薬物依存、浪費癖、放浪癖、職業選択の選り好み、協調性の欠如などがホームレス化や犯罪の真なる原因であるのならば、ホームレス化や犯罪は、社会の側に責任があるのではなく、自己責任に帰着することになり、ホームレス化と犯罪の自己責任説は科学的に正しいことになる。 さらにまた、アルコール依存症、ギャンブル、女遊び、薬物依存、浪費癖、放浪癖、職業選択の選り好み、協調性の欠如などは、規範意識が強ければ自己予防や自己抑制できると考えられ、やはり規範意識の問題は犯罪学の中心的位置を占めるとも帰結できるのである。 補足説明 ・湯浅氏は「溜め」による自己責任論批判を行うが、「溜め」という社会資本は上記の自己問題要因によって目減りするわけであり、目減りした原因は本人にあり、何ら自己責任を免れる免罪符にはならない。 ・また、貧困・犯罪の外部要因の否定が単純に自己要因とならない。多くの人は外部要因を克服する力はあるからである。例えば、多くの人は、会社が倒産して失業してもすぐに仕事を見つけ、ホームレスにならないのである。職業を選り好みしたり、貯金を家賃にあてず飲酒やギャンブルにまわす人たちがホームレスになりやすいでのある。倒産失業だから社会が悪く、本人のせいでないという短絡的な思考をもつブロガーもいるのが残念である。自己問題要因を抱えているから、普通の人なら克服できる外部要因=困難も克服できないのである。 ・アルコール依存症、ギャンブル、女遊び、薬物依存、浪費癖、放浪癖、職業選択の選り好み、協調性の欠如などをどのように測定するのかということであるが、アルコール依存症やギャンブルや薬物依存についてはすでに研究し尽くされているので、その指標を用いることができる。女遊びについては浪費癖の項目に入れることができる。放浪癖は、その回数と頻度で図る。協調性の欠如は心理学の心理統計や性格テストでもよくみかけるので流用可能である。職業選択の選り好みについては、ニートの社会調査などでもよく見受けられる項目である。既存の社会科学的研究から拾いだすことができる概念であり、さほど測定は難しいとは言えない。社会調査法の解説書をみれば、上記の項目を質問することは、他の調査に比べ、まだたやすい方であることがわかる。 ・アルコール依存症、ギャンブル、女遊び、薬物依存、浪費癖、放浪癖、職業選択の選り好み、協調性の欠如がおきても、もともと裕福な人間はホームレスにならないという議論もあるが、これは調査目的の混同に基づいた議論であり、自己責任論を実証することと無縁である。 もともとの所得格差が社会的原因に基づくという先入観をもっている左翼的な人がそのように思考するにすぎない。社会調査においては、このような先入観をもってはならない。あくまでも、ホームレスになった者のうちで、自己責任のためにそうなった者がどのくらいいるのかというのが調査の目的になるからである。 ・また、社会病理学で、病理性が指摘されるのは、飲酒やギャンブルでも、それが生活障害に至った時である。ホームレスや犯罪という社会生活上の大きな生活障害が起こることは病理的なものとして見なされることになる。生活保護受給者に対する福祉事務所の強制的な生活指導の一つになる。 生活障害をもたらさない程度の飲酒やギャンブルは趣味の範囲となるのである。無論、生活障害という概念には、家族関係の崩壊や失職なども含まれており、ホームレスや犯罪をしなくても、生活障害が起きていれば、病理的であると言えるのである。 ・アルコール依存症、ギャンブル、女遊び、薬物依存、浪費癖、放浪癖、職業選択の選り好み、協調性の欠如は、基本的には自己コントロールすることで解決される。規範意識に基づき、自らの問題を自覚させ、立ち直りたいという動機付けのもとに、各種心理療法を受けたり、自助グループにはいるなどして治療することで解決される。このことをせずに、単に衣食住や就労を提供するだけでは、同じ問題性が再発し、再度、ホームレスや犯罪に至るのである。 以上、下のトラックバックをしてきた方は、どうも現場での質的調査の体験がなく、観念論に終始し、非常に現実から遊離された議論をしているので、釘を刺しておいた。(ちなみに、過去に私は研究のためにホームレスに何度も面接調査をしたことがあるのである。) 人気blogランキングの他ブログも知的に面白いですよ。 人気blogランキングへ ■
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タイトル : 自己責任論における「努力」の問題 湯浅誠『本当に困った人..
■「溜め」による自己責任論批判■ 本来、昨日分で書評の範囲は終わっているのですが、一応重要なことですので、自己責任論における「努力」の問題、及びその他について少しだけ書きたいと思います。 自己成.....more まあまず、自己責任論について調べたほうがいいんじゃないでしょうか。右派だったら佐伯啓思氏の論考がありますよ。 意欲格差など様々な議論を考慮して経験説から社会学的に考えれば、そもそも協調性や努力を選択すること自体が個人の周辺環境に依存しているので(例えば溜めが著しくない)社会学的には個人の責任とはいえないし、法学における責任の議論も社会秩序を維持するために「責任がとられなければいけない」というところからスタートして個人に一定の責任を負わせるのであって、責任がとられなければいけないから慣習的に自己責任と認める程度が設定されているだけで、犯罪者は環境の悪さから不自由な形で反社会的な行動を起こしてしまった気の毒な人物であるし、このことは法曹関係者も認めていて例えば友人を殺された弁護士の方が「友人を殺した死刑になった犯罪者が非常に反省しており殺したくなかった」とおっしゃっていたりするのはそういった知見に基づいてる。犯罪者にもホームレスにも根本的には彼らが悪いわけじゃないですよ絶対。 あ、あれ?
社会調査が必要って自分で言ってるのに、ある筈って推測で語ってません・・・? 思い込みは危険ですよ、ちゃんと裏付けを取らないと・・・
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