サンデーらいぶらりぃ:小林 照幸・評『パンダの飼い方』白輪剛史・著

2010年04月28日

◆やっぱり動物園で

◇『パンダの飼い方』白輪剛史・著(PHP研究所/税込1365円)

 今年2月、石原都知事が上野動物園へのパンダ(ジャイアントパンダ)の受け入れを発表した。08年4月にリンリンが死んでパンダ不在となると、レンタル料年間約一億円を税金で賄うことに疑問を呈し、「パンダはいらん」と主張した。だが、08年度の入場者が60年ぶりに三百万人割れし、来園者のパンダ不在を嘆く声には勝てず、パンダ受け入れを表明、早ければ来年にもお目見えする。

 動物輸入商を営む著者によるユニークなタイトルの本書は、猛獣、珍獣、見ていると癒やされる和み獣の買い方、飼い方を伝授する。

 ジャイアントパンダ、ライオン、キングコブラ、キリン、アフリカゾウ、カピバラ、フラミンゴ、コウテイペンギンなど17種を取り上げた。入手難易度、飼育難易度、飼育危険度、なつきやすさを各5段階で評価し、飼育下での寿命、各動物の逸話などにも触れるが、エサ代、排泄物、鳴き声、におい、性質などの現実問題を著者は自らの体験談も正直に書き、「やっぱり動物園や自然下で観察しましょうね」と促す。現在の価格でゾウは三千万円。もちろん、送料は別。エサだけで一日二百キロ。糞は一日百キロで匂いも強烈、鳴き声もあり、街中での飼育は無理。

 こんな現実を説く著者には、子供の頃(30年以上前の静岡県)、個人でアジアゾウ「花子」を飼育していたおっちゃんの思い出がある。往復10キロも厭わず、著者は自転車で毎日、訪ねた。周囲に民家はなくとも、数百メートル先の団地までにおい、立ち退きの憂き目にあったという。本書は動物園の飼育員の苦労が理解でき、動物園に行くのが楽しくなる本である。

<サンデー毎日 2010年5月9・16日号より>

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