有志が署名活動現場復帰望む声

『マスコミ裁判極まる』編集局長 山崎祐一

2013/02/04

 県立豊川工業高校陸上部顧問(監督)の現場復帰を願う声が日増しに高まっている。元PTA会長、荻野滋夫さんらが発起人となって先月末から署名活動が始まり、大きな反響を呼んでいる。3日行われた名岐駅伝に同校陸上部が出場したのにあわせて、有志がレースのゴールとなる中日新聞本社前で、署名活動を展開し、熱い思いをアピールした。

 20年間かけて築いた「駅伝強豪校」が、体罰があったとするバッシング報道で、一瞬にして崩れ去った。

 通常の授業も自粛を余儀なくされ、手塩にかけて育て上げた陸上部の監督からも外された。マスコミ報道が先行し、すでに今年3月限りで同校を去るのも、織り込み済みのよう。マスコミ裁判もここに極まった。

 無名校で、むしろ荒れていた豊川工を20年かけて押しも押されもしない駅伝強豪校に育て上げた。それにもかかわらず、大村知事は、その20年が長過ぎ、体罰の温床になったと言わんばかり(定例会見)。

 ほんの少し前まで、20年に及ぶ栄光の歴史をたたえてきたのに、その20年が悪いと言われれば、その間の労苦が踏みにじられたばかりか、全否定されたことになる。

 20年間にわたり、人間教育を実践してきた。その結果、名監督、すばらしい先生として、多くの生徒や保護者から慕われ、尊敬されてきた。その表れが署名活動だ。

 続々と教え子はじめ関係者が「絆(きずな)」を強めている。すでに当初目標の3000人近い署名が集まり、運動の輪は広がりを見せている。

 学校側の説明によると、最初は体罰の認識はないとしていた本人も、認めるようになったとして、学校側が代わりに謝罪した。しかし体罰には認識上、微妙な点があり、そう簡単ではない。

 いずれ、この話は著書になるだろう。ひょっとしたら映画かテレビドラマになるかも知れない。その際、マスコミ報道を含め、学校側の対応、この署名運動はどう描かれるのだろうか。

 時代が大きく転換しつつある。そうした中で、高校部活動のあり方も変わらざるを得ない。教諭が採って来た人間教育、全人教育の部活動は、もう古くさいのかも知れない。時代に合わなくなった。それが事件の真相のようにも思える。

 この事件を検証することが、その答えになるだろう。それほど、節目にある大きな事件だ。

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