中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 速報ニュース一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

歌舞伎の市川団十郎さん死去 豪快な荒事、66歳

2013年2月4日 01時55分

死去した12代目市川団十郎さん (2010年撮影)

写真

 江戸歌舞伎を代表する市川宗家の12代目としてお家芸の「歌舞伎十八番」をはじめ、世話物や新歌舞伎など幅広く演じてきた歌舞伎役者の市川団十郎(いちかわ・だんじゅうろう、本名堀越夏雄=ほりこし・なつお)さんが3日午後9時59分、肺炎のため東京都内の病院で死去した。66歳。東京都出身。葬儀・告別式の日取り、喪主は未定。

 11代目市川団十郎の長男。7歳で初舞台、11歳で6代目市川新之助を襲名。19歳の時に父を胃がんで亡くし、23歳で10代目市川海老蔵を襲名、38歳の時に「勧進帳」の弁慶、「助六」の助六などで12代目団十郎を襲名した。

 代々の団十郎が演じてきた「荒事」は豪放な英雄が悪を懲らしめるという単純な筋だが、江戸庶民は団十郎のにらみや見えが悪霊や災厄を払うと信仰した。その伝統を受け継ぐ団十郎さんも歌舞伎十八番の弁慶や助六などを大きくおおらかに演じた。荒事のほかにも世話物「お富与三郎」の与三郎、「三人吉三」の和尚吉三、新歌舞伎「将軍江戸を去る」の徳川慶喜など当たり役は数多い。

 2004年5月、長男の11代目海老蔵さんの襲名披露公演中に白血病を発症。抗がん剤などによる治療でいったん回復し、10月に海老蔵さんの襲名披露パリ公演で復帰したが、翌年再発。自家末梢(まっしょう)血幹細胞移植や輸血を繰り返す壮絶な治療を続けた。08年に妹の紅梅さんから骨髄移植を受けて、09年に完全復帰した。

 07年3月にパリ・オペラ座で初の歌舞伎公演を実現。闘病中に「三升屋白治(白血病が治るようにと命名)」の名で新作舞踊「黒谷」を書き、10年10月に京都・知恩院の「法然上人八百年大遠忌」で奉納上演した。

 その後の体調は順調だったが、昨年12月の京都・南座の顔見世公演中に風邪をこじらせ途中休演。今年4月からの新・歌舞伎座こけら落とし公演の出演演目も決まり、復帰が待たれていた。昨年12月5日には中村勘三郎さんも急逝、歌舞伎界は相次いで大黒柱を失った。

 1988年に日本芸術院賞、07年にオペラ座公演によりフランス芸術文化勲章コマンドゥール章、紫綬褒章、菊池寛賞を受けた。昨年12月、日本芸術院会員に選ばれた。

 長女は舞踊家のぼたんさん。松本幸四郎さん、中村吉右衛門さんはいとこに当たる。

(中日新聞)

 

この記事を印刷する

PR情報



おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ