豊川工高陸上部体罰問題で関係者が署名活動
2013/01/31
高校部活動を中心に体罰バッシング報道がエスカレートする中、県立豊川工業高校陸上部、教諭顧問(監督)問題で、教諭の指導自粛・転出が取りざたされ始めたことから、同校の元PTA会長、同窓会長ら関係者が「継続指導」を求めて、立ち上がった。「9割が先生にいてほしいと望んでいる」として、29日夜から署名活動を始め、30日に本格化させた。
代表は02(平成14)年秋に著書「たすきがくれた奇跡~豊川工業高校陸上部物語」をまとめた同校元PTA会長の荻野滋夫さん。
今月26日付朝刊からバッシング報道が始まり、連日連夜、各社が取り上げて、大村知事が28日の定例会見で継続指導について、「部活指導復帰は困難だ」との認識を示すまでエスカレートした。
そのため、教諭は続けるはずだった授業まで自粛せざるを得ない状況に追い込まれた。
荻野さんは「(報道されているような)そんな先生じゃない。一方的な報道で、おかしい。黙っているわけにはいかない」と直前まで同窓会長を務めていた夏目雅康さんと連絡を取り、署名活動を行うことにした。
荻野さんは息子2人を同校に入学させ、陸上部に在籍、教諭から直接指導を受けた。「ぐうたらしていた息子がまるで別人のように劇的に変わった。先生の指導のおかげであり、間近で見てきたひとりの親として、今回の一方的な報道にはがまんできない」と怒りをあらわにする。
さらに「勝利至上主義だというのは、まったくのウソ。来るもの拒まずで、セレクションもしない。遅い子が速くなるのに刺激されて、元々速い子がもっと速くなるというのが、先生の指導法。むしろ遅い子の指導に力を入れている」と反論。
県大会で優勝し、全国大会出場を決めた翌日朝のことだ。「午前6時30分ごろ学校に着いたら、陸上部員全員で校舎の周りを掃除していた。心が洗われました」とも。
「いろいろ聞いて調べたが、9割以上の保護者が先生の指導を望んでいる。おそらく多くの生徒の希望である」
発起人は荻野、夏目両氏のほか、現同窓会長の柴田浩志、豊川ビジョンリサーチ会長の小野喜明、豊川アスリートサポーターズクラブ会長の船井照夫の3氏の計5人。
要望趣旨は、教諭に反省すべきところは反省してもらい、継続して同校同部顧問として指導してほしいというもの。
荻野代表は「3000人以上の署名は集まると思う。早ければ来週半ば(5、6日)、遅くても2月中旬には県教育委員会に持参して、私たちの気持ちを伝えてきたい」と話す。
2月3日の名岐駅伝でも、ゴール付近で署名活動を行う。
同校は30日夜、体育館で臨時保護者会を開き、経緯などを説明した(1日付詳報)。