規制庁幹部 事業者に報告書案渡す2月2日 4時53分
国の原子力規制委員会の事務局を務める原子力規制庁の幹部が、福井県の敦賀原子力発電所の敷地にある断層調査の報告書案を公表前に事業者側に渡していたことが分かり、原子力規制庁は、この幹部を訓告処分にしました。
処分を受けたのは、原子力規制庁の名雪哲夫審議官です。
原子力規制庁によりますと、名雪審議官は先月22日、日本原子力発電の敦賀原発の敷地にある断層を巡って、原子力規制委員会の専門家会議が活断層かどうかを調査した内容を記した報告書案を、公表前に事業者の日本原子力発電の幹部に渡していたということです。
原子力規制庁は極めて不適切な行為だとして、名雪審議官を訓告の処分にするとともに、1日付けで審議官を更迭し、文部科学省に出向させました。
原子力規制庁は、東京電力福島第一原発の事故を受けて、これまでの規制当局が原発の安全を守るために電力会社などの事業者に対して十分な規制ができていなかったという反省に立って去年9月に発足し、独立性や中立性を保つために事業者と面会する場合は面会の日時や内容を公表するなど厳しいルールを設けています。
原子力規制庁の森本英香次長は「規制当局の幹部として著しく軽率な行為であり、今後このようなことのないよう信頼回復に努めている原子力規制組織として、襟を正して職務に当たる所存です」と述べました。
“自分たちに非はない”
これについて日本原子力発電は、名雪審議官とは去年12月10日以降5回面会し、この中で事前に報告書案の内容を教えてほしいと求め、名雪審議官から「評価にあたった専門家の了解を得られれば可能だ」と説明を受けたとしています。
そのうえで、受け取った報告書案について「公表されていないという認識はあったが、評価にあたった専門家の了解が得られたものと考え、持ち帰った」と説明しています。
また事業者との面会には複数で対応しなければならないという原子力規制庁の内規を知っていたということですが、いずれの面会の際も名雪審議官は1人だったということです。
そのうえで、日本原子力発電は事前に報告書案を受け取ったことで何らかの働きかけをするなどの行動は一切取っていないとして、「自分たちに非があるとは思っていない」としています。
“非常に軽率”
原子力規制委員会の田中俊一委員長は「原子力の規制組織として信頼回復に努めているなかで幹部がこうした行為をしたことは誠に遺憾だ。特に、規制される側との接触は慎重でなければならず、今回の行為は非常に軽率だったと言わざるを得ない」として、職員に対して、襟を正して職務を当たるよう通達したということです。
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