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 偏西風はいいことばかりでなく、大陸から迷惑なものも運んでくる。黄砂がそうだし、汚染物質もそうだ。

 中国では全土で大気汚染が深刻と、連日のように報じられており、影響が日本に及ばないか心配だ。調査を重ね、対策を考えておかねばならない。

 中国の大気汚染の原因は一つや二つでない。暖房に使われる石炭や急速に普及した車の排ガス、工場や建設現場から吐き出される汚染物質などさまざまだ。

 中国環境保護省は先月末、有害物質を含む濃霧が130万平方キロに達したと発表した。日本の国土の3倍を上回る広さだ。北京や天津などでは6段階ある大気汚染指数の最悪を記録した。日中も車は点灯が必要で、空港や高速道が閉鎖になった。よほどの事態に違いない。

 霧が発生すると、大気中の汚染物質が霧の水分で閉ざされた形になり、小児や高齢者はぜんそくや気管支炎にかかりやすい。都市部では診察しきれないほど患者が多いという。

 この10年余り、中国は急速に経済活動が盛んになり、消費が進んだ。政府は環境問題に力を入れる。だが、全土でダイナミックに進む産業、消費活動に規制が追いつかないのが現状のようだ。

 日本もそんな時があった。公害対策より産業活動を優先した結果、工業地帯や通行量の多い道路沿線で公害が相次いだ。中国の状況は日本がたどった道であり、ひとごとではない。

 日本がやるべきことは二つある。一つは大陸から飛来する物質の正体や発生源を突き止め、対策を考えることだ。

 環境省は大学や研究機関と汚染物質の調査を進めており、アレルギー症状の原因となる化学物質や有害なカビ、キノコ類などが見つかっている。ぜんそくを引き起こすとして中国で問題になった直径2・5マイクロメートル以下の微小粒子状物質も、日本の広い範囲で確認されている。

 原因究明や発生源封じは中国のためでもある。中国政府や中国の研究機関も協力して取り組む意義を理解し、日本と共に問題解決に当たってもらいたい。

 もう一つは環境面での技術協力だ。先に公害を克服したのは日本であり、中国に協力できることは少なくない。技術移転の例はあるが、合弁企業など一部にとどまるとされ、範囲を広げる必要がある。大気中の汚染物質は東アジア共通の敵だ。同じ被害に直面する韓国も含め真剣に取り組むべき課題である。

 黄砂の季節が近い。飛来物を過小評価せず、地道に対策を講じることだ。

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