音楽業界、構造不況。若手のヒットが減った2つの理由

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2013/02/02


Kindle人気書籍「誰が音楽を殺したか?」より。15分くらいで読めるミニサイズの本です。これ100円はお得ですね。


若手のヒットが難しくなった理由

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オリコン・チャートを見ると、若手のヒットが如実に少なくなっているそうで。上はアイドル・KPOPを除いたランキング。2000年代のアーティストはわずか2組!しかもそれも2000年、2001年デビュー。

著者は若手が登場しない理由について、2つの要因を挙げています。

一つは、純粋に新人に投資する余裕がなくなったためだ。ヒットが見込まれる新人に対しては専属契約の対価として、2000年頃までは「援助金」の名目でレコード会社から月100万円単位の資金が提供されていた。「2年契約で億円単位はよくあった」と同幹部は打ち明ける。

その原資は大ヒットを連発する大物アーティストにあった。わずか数パーセントの大物が稼いだ収益を、新たに発掘した新人へ投資してビジネスを回していた。

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音楽ビジネスの不況によってこの投資のサイクルが回らなくなったことが、第一の理由ということですね。逆にいうと、これまでは相当バブリーな構造に支えられていた、ということでもあるのでしょう。


もう一つは、ヒットの方程式が通用しなくなったことだ。一番大きいのがマスメディアの威力。エイベックス関係者は「浜崎あゆみはマスメディアの申し子。とにかく話題になる仕組みをつくりあげて、ヒットを連発した」と打ち明ける。だが、今は「テレビでの頻繁な露出には、視聴者がほとんど反応しなくなった」という。

「ヒットの方程式が通用しなくなった」というよりは、「ヒットの方程式が変わってきた」という表現の方が正しいのかな、とか思いました。かのAKBは、まさにマスメディアでうまくいっているわけです。

個人的な感覚としては、売れるまでに必要な「話題性」のしきい値が、極端に上がってしまったような気がします。同時に「(マスコミによって)話題になって、共有される」から「(ネットを中心としたコミュニティに)共有されて、話題になる」というプロセスに変わってきた、というのも指摘できそう。「新時代のヒットの方程式」は面白いテーマですね。


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シングルCD市場自体もぼろぼろになっています。13年で約三分の一にまで縮小。AKBすごいな…。

頼みの綱の有料音楽配信も伸び悩み。

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100円払えばざっと音楽業界のことを理解できる、というのはシンプルでいいですね。図版が多いので資料価値もあります。こういうかたちで雑誌を「切り売り」していくのは今後も増えていきそう。先鞭を付けるあたりはさすがダイヤモンドです。


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