「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」のカーマイン・ガロの新刊。今回はアップルストアがテーマです。Appleだけでなく、ディズニー、スターバックス、ザッポス、LUSHなどの事例も紹介されており、読み応えのあるお得な一冊となっています。
ジョブズは利用規約までチェックしていた
驚かされたのは、スティーブ・ジョブズはなんと利用規約までチェックしていたという話。もちろんその目的は最高の顧客体験を届けるためです。
スティーブ・ジョブズは顧客体験の細かなところまで執拗に追究する。アップルのパートナー企業に対し、
「お宅は、顧客に対して腹を立てているのか」
とたずねたときもそうだった。電話を受けた役員はジョブズと面識があり、電話をもらったこと自体には驚かなかったが、その質問にはとまどったという。
「そのようなことはまったくありませんが……」
「じゃあ、情報公開の文言にトゲが感じられるのはなぜなんだい?あらゆる接点で顧客に親しみを持ってもらうようにすべきだ」
顧客は利用規約に同意するという項目にチェックは入れるが、その文言を読むことはまずない。その利用規約をスティーブ・ジョブズは1文ずつ丹念に読む。利用規約が大事だと思うからだ。
嘘かまことかわかりませんが、利用規約まで顧客接点と捉える、というのはすさまじいですね…。
このエピソードに象徴されるように、ジョブズは「徹底的に」カスタマー・エクスペリエンスの最適化を目指していたそうで。だいぶ前にブログで紹介しましたが、アップルストアのノートパソコンの角度の話も面白いです。
アップルストアに置かれているノートパソコンは、スクリーンが90度の角度に開かれている。こうすれば、見やすい角度にスクリーンを調整しようと顧客が製品に触れざるを得なくなるからだ。スクリーンの角度も大事なのだ。
![]()
調整するために思わず触っちゃうわけですね。ユーザーの行動をうまくデザインしている好事例だと思います。アップルストアに訪れたら、ぜひ意識してみてください。
Appleの利用規約を色々見てみましたが、たしかに読みやすい感じはしますね。Facebookなんかは翻訳が微妙だったりしますし(「10.開発者は、Facebookとの関係を他の人に偽って伝えないものとします」とか)。まぁ、読むことはないのですが…。
というわけで、ジョブズは相当細かく顧客体験を追い求めていたらしいです。サービスを提供する立場にある人は、本書を一読して、顧客サービスについて考えてみるとよいでしょう。仕事のヒントが溢れている一冊です。