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はじめまして古舘真先生 DVについて研究しているうちにここにたどり着きました おそらく既知でしょうけど参考までに貼ります
「夫ではなく妻が暴力をふるう ストレスを暴力によって解決しようとするかどうかは,性別によって違うのでしょうか。多くの読者は「YES」と答えるでしょう。そして,こう,付け加えるでしょう。
「女性より男性の方が,暴力によって問題を解決しようとする」と。このようにかんがえるのはわが国だけではなく,西欧文化でも同様です。しかし,実際には,夫より妻の方が暴力をふるいます(Lawrence&Bradbury,2001,2007;Morse,1995など)。たとえば,ニューヨークの研究(O'Leary et al,1989)では,夫婦272組みを対象に,配偶者に対する暴力的コーピングについて調査をしています。その結果が図4-18※1です。図4-18は暴力をふるった割合(%)です。どのような暴力コーピングでも,夫より妻の方が,暴力をふるう割合が高いことがわかります。また,結婚一ヶ月前,結婚18ヶ月後,結婚30ヶ月後,いずれの時点でも,夫より妻の方が,暴力をふるう割合が高い事が報告されています。さらに,「親密なパートナーからの暴力」の性差を検討した82の調査を分析した研究(Archer,2000)では,男性より女性の方が,暴力的コーピングの使用頻度が高いと報告しています。暴力をふるったかどうかという自分自身の回答だけでなく,暴力をふるわれたかどうかの回答でも,男性より女性の方が暴力的コーピングを用いていました。ただし,パートナーにケガを負わせるような暴力に関しては,女性より男性の方が多いと報告しています。それではなぜ,世間は女性の暴力に注目する事なく,暴力をふるうのは男性だと思っているのでしょうか。それは,少なくとも北米の場合,女性の暴力を見逃す次のような社会文化的背景があると考えられています(Straus,1999)。
①言い寄ってくる男性の横面を女性がひっぱたく事が受けいられているように,女性が男性を攻撃する権利を,社会が認める傾向があります。②また,女性の体は小さく,弱々しいため,女性は暴力を抑えなくてもかまわない,と思っているようです。つまり,女性は,自分の暴力が男性に危害を加える事はないと信じています。実際に,パートナーに暴力をふるう女性の多くは,「自分自身が暴力をふるっても,男性は傷を負う事はない」「自分の暴力を男性は防ぐ事ができる」と信じています(Lawrence et al.,2006)。
③さらに,「女性は,男性からの暴力に対する自己防衛や報復のために暴力をふるう」と
一般的に信じられているため,女性の暴力は社会的に許されやすいとも考えられています。」
『離婚の心理学 パートナーを失う原因とその対処』加藤 司 P186‐187
※1「結婚30ヶ月後に、暴力をふるった割合の性差」の図 暴力の種類として
「蹴る・殴る」「モノを投げる」「物で殴りつける」「拳銃・ナイフで脅す」などでは妻が数倍暴力を振るっている 「押す・ひっかく」「平手打ち」の項目でも妻が多く暴行している
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