ニホンウナギ「絶滅危惧種」で県内店主は困惑 日本の食文化守って
埼玉新聞 2月2日(土)15時37分配信
ニホンウナギが「絶滅危惧種」に指定された1日、「浦和のうなぎ」として有名なさいたま市をはじめ、県内のうなぎ料理店主らには困惑が広がった。不漁続きで高値が続く中、さらに客足に不安をあおるような絶滅危惧種の指定。一方で、ウナギ保護の必要性を長年抱いていたのも事実で、消費者ともども胸中は複雑だ。
さいたま市浦和区の旧中山道沿いに店を構える「蒲焼 山崎屋」。江戸時代から続く老舗にも不漁は影響し、うな重(並)を昨春、1890円から2520円に値上げした。「2千円は出せるが、3千円は出せないという人も多く、客が3割減った」と店主の椎名正幸さん(47)。突然の絶滅危惧種指定には驚きを隠せず、「歓迎できる話ではない。絶滅危惧種を食べることになってしまう」と不安顔だ。「業界全体で考えていかなくてはならない問題」と保護の必要性を実感しているのも事実だが、「日本のウナギ漁獲は沿岸だけだが、海外では水の深いところまで捕っていると聞く。本当は世界的な対策が必要だが、それによってもっと規制が厳しくなっても困るし」と、苦しい胸の内は尽きない。
文豪・田山花袋の小説「田舎教師」にも登場する行田市城西のうなぎ店「満る岡(まるおか)」(早川昇店主)は、川魚料理の伝統を受け継ぐ1875年創業の老舗。同店6代目の市原祥さん(37)は「対策は必要だが、一番心配なのはお客さんに値段の面で迷惑が掛かること。値段が上がると、直後の1回はいいが、2回目、3回目のリピートが減るのをこれまで感じてきた。仕入れ値や客足など、今後の動向を注意深く見守りたい」と慎重姿勢だ。
さいたま市内のうなぎ店で食事を終えたばかりの戸田市のデザイナー女性(73)は「土用の丑(うし)の日があるように、うなぎは夏も冬も関係なく元気になれる日本の食文化。1カ月に1度は食べている。対策は早い方がいいので、危惧種指定はやむを得ないが、食べられなくなることだけは避けてほしい」と切実な声を上げていた。
最終更新:2月2日(土)15時37分
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