「ご存じのように、いわゆる慰安婦というのは第2次世界大戦中の日本軍相手の売春女性のことです。(中略)朝鮮戦争やベトナム戦争のとき、米軍基地の周りにも売春街があったはずです。(中略)日本軍が韓国の女性を強制的に性的奴隷にしたという証拠はどこにもありません」
米国ニューヨーク州上院は29日、旧日本軍による従軍慰安婦の強制連行を非難する決議案を満場一致で採択した。決議案提出から採択までの期間はわずか13日だった。この間、ニューヨーク州上院議員の元には日本の極右勢力などから抗議のメールが数百通ずつ届いた。決議案を提出したトニー・アベラ議員は「不快なメールがたくさん届いた。日本から送られたものだ。一番腹が立ったのは、慰安婦の話はうそだという主張だった。こうした試みが逆効果を招いたようだ」と語った。
日本の極右勢力は決議案の提出直後から「正義と平和のための日本女性たち」というタイトルのウェブサイトに「慰安婦は自発的な売春女性」だと訴える電子メールの例文、ニューヨーク州上院議員全員の電子メールアドレス、ツイッターアカウントなどを掲載し、集団で抗議メールを送るようたきつけていた。
こうした中、29日に決議案が採決に掛けられると、議員たちは待っていたかのように支持を表明した。トビー・スタビスキー議員は「慰安婦の事件は人身売買に関する問題。女性が女性だという理由で迫害を受けるようなことが再びあってはならない」と指摘した。
米国では慰安婦問題をめぐり、2007年に日本政府の謝罪を求める決議が連邦議会下院で採択されている。州議会での決議採択は、1999年のカリフォルニア下院に続き2例目となる。