Extreme challenge Special Night スペシャルゲスト、エベレスト単独・無酸素登頂再挑戦の際、 BlueTrack マウスを持参した、登山家 栗城史多さん。

栗城史多さんスペシャル インタビュー第1回目

エベレストの単独・無酸素登頂 再挑戦を終えて

栗城史多さん

一言でいうと、今回のエベレストは苦しかったですね。始めから悪天候に見舞われ、最悪な気象状況の中で僕の仲間の一人が飛行機事故で亡くなったこともあり、出だしから悪い流れがありました。どうにかして良い方向へ変えようとしたのですが、なかなか思うようには行きませんでした。無酸素のキツさも再認識しましたし、今までに経験したことが無い壁を感じました。ただ良かったことは、前回挑戦した時よりも自分の経験値が上がったなと感じられたことです。がむしゃらに進んでも「この辺が自分には限界だな」とか「これを超えると生きて帰って来られない」ということを自分で冷静に判断できたのは、すごく意味のあることでした。あと良かったことがもう一つ、中継のレベルがすごく上がり、綺麗な映像が配信できました。

エベレストでの BlueTrack マウスの使い心地は?

ベースキャンプの通信テント

すごく有難かったですよ。ベースキャンプの通信テントにはテーブルが無いんです。だから機材の鞄の上や床でマウスが使えたのはすごく助かりました。実はちょっと試してみたくなって、外の平らな岩の上やテントの表面でも使ってみたら、どこでもきちんと動きました。後でふと「こんなところで使う人はいないな。何やってんだ?」と思いましたけど(笑)。Twitter でも「あのマウスが欲しい」という人がすごく沢山いました。やっぱりマウスってきちんと机で使うものというイメージを持つ人が多いみたいですけど、もっと気軽に、たとえば足の上でも使えることを皆さんに知ってもらえて良かったと思いましたね。マイクロソフトさんって少し硬いイメージがありましたけど、結構チャレンジ精神があって面白いですよね。

栗城さん命名「デキマウス」 栗城さん命名「デキマウス」

この BlueTrack マウスを一言でいうなら「出来マウス!どこでもできま~うす」ですかね(笑)。僕自身の信条がそうであるように、初めから出来ないだろうと思ってしまうと絶対に何もできないと思うので、そのことを象徴する意味でも、普通使えないだろうと思える場所でも使える、「デキマウス」ですね。

有言実行、あえて宣言してからチャレンジすることにこだわるのはなぜですか?

栗城史多さん

やっぱりプレッシャーは相当こたえます。沢山の人に応援して頂いて、テレビ番組まで作って頂いて、それで登れないとどうしても結果だけ見られますし、正直なところ色々な声も聞こえてきます。でも僕は、やっぱり次も「やります」と皆さんに伝えてから登ります。失敗や挫折があったら、それも皆に伝わればいいと思うし、諦めないことにも価値はあると思っているんです。「失敗するかもしれない。失敗したらどうしよう」と思って周りに言いたくない人もいると思いますが、僕はその逆で、どんどん口にした方が良いと思っています。その時の結果が失敗だったとしても、チャレンジしている限りは嘘つきじゃないし、いつか成功した時に過去の失敗が美談になるんじゃないかと思います。それに、簡単に成功してしまうことほどつまらないことはないですよ。実際は精神的に辛い部分もありますけどね。

僕が命がけで撮っている映像が、将来的には映画などで使えたらいいなと思っています。つまり、現在の山岳映画がCGで表現している部分を、本物の映像でやってみたいですね。

いつまでも目標を持ち続ける秘訣を、この記事の読者に向けて教えてください。

栗城史多さん

まだ 28 年しか生きていない僕が言うのも難しいですが、最近「失敗せずに成功しよう」という考え方が多いなと感じています。とにかく何かで成功するには、いかにリスクを下げるかが決め手のように言われていますが、それでは自分自身を活かしきれないのではと感じるんです。僕みたいな生き方って High risk, low return(ハイ リスク ロー リターン)で、「これを続けていたらいつまで生きられるのかな」と考えることもあります。でも僕自身の価値観としては、最期に残るのは、お金とかよりも生き様が充実した人生なんじゃないかと思うんです。20 代だからではなく、40 代でも 50 代でも、明日から何でも始められるし、ただそれをやるかやらないかだと。今の時代ってインターネット環境やソーシャルメディアも充実していて、自分のことを多くの相手に伝えられたり、変わった生き方も受け入れられやすい時代だと思うので、今はチャンスが沢山あるような気がします。ネパールなどの貧しい国に行くと、その日その日を生きていくのが大変な人々がたくさんいますが、日本の場合、いくら不景気だといっても十分豊かだと思うので、周りの目などを気にせずにいろんなことにチャレンジして欲しいと思います。

この記事を読んでくれたより多くの方々と、12 月 17 日のイベントで会えるのを楽しみにしています。皆さん、待ってまーうす。ナマステ!

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