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・WEB下げした部分のあらすじです(書籍部分と異なります)
・ネタバレなので注意です。
・あくまでも彼視点ですので偏りがあります。
第一章 トマトと共に
**第一章あらすじ**
やあ!僕はヒューストン伯爵家の長男、ラインナルトだよ。
今回は僕がWEBから下げた部分のあらすじを簡単にまとめるよ。
本編はリツキ視点で進んだけど、今回はあくまでも僕視点のあらすじだからね。
あと、書籍版のあらすじではなくて、WEBで公開していた時のあらすじになるからね、そこのとこ注意だよ。
ネタバレも嫌な人はスルーして欲しいな!

**

「――で、今は異世界からの迷い人がいるんだって」

僕は、部屋のソファに座る友人に声をかける。
相手はたいした興味もなさそうに、気だるそうに生返事をする。

「――ん」

ああ、これは相当お疲れだな。やっぱり友人として、気分転換をしてやらなければ。
だから、僕の生まれ育った地へ連れて行くことを思いついた。緑あふれる自然も多いし、そこそこ栄えてはいる避暑地として人気もあるし、きっと彼も気にいってくれると思うんだ。
ここ、王都で休暇を取ろうとしても、周囲の人間は放っておいてなどくれないのだから、どうせなら、あまり顔の知られていない土地、僕の生まれ育った地へと連れ出そう。その方が気晴らしにもなるだろう。そこでしばらく、ゆっくり過ごすといい。

「だから行こうよ。父も君を歓迎するよ。ね?アデレィ」

僕の強引な誘いに、彼は視線を一つ投げただけだった。

***

あまり気のりしない様子のアデレィを、強引に僕の生まれ育った地に連れてきたわけだけど、すぐに『王都に帰る』と言いだすかな?と思った。まあ、そうなったらなったで、構わないけどね。
ところが、どこをどうしたのか――。

アデレィはこの地について早々に、散歩に出かけたらしい。深夜に到着したので、僕はそのまま寝てしまったけど、どうやら彼は、知らない土地でなかなか寝付けなかったみたいだ。僕は生まれ育った地なので熟睡だったけどね。
そして、散歩から帰ってきた彼は実に機嫌が良かった。もしかして、自然と触れ合って、少しは日々の疲れが取れたかな?と思ったよ。
その後もアデレィは早起きをして、日に日に生き生きとしてすごく楽しそうだった。

これは、何かあるな――。

僕が気付くのに、そう時間はかからなかった。
そんな時、異世界からの迷い人だという、リツキにあった。
長い黒髪に、輝く瞳。くるくると変わる表情が見ていて飽きない。
何よりも、恐れを知らず、媚びることなどせず、自分に正直で真っ直ぐだ。
ああ。アデレィの元気の源は彼女か――。
そう思ったら、興味がわくと同時に、すごく彼女と仲良くなりたくなったよ。
どうやら彼女は、何かの作業を土地の一角でしているらしい。何かの栽培なのかな?不思議な赤い実の。
けど、別段これについては咎める気もさらさらない。むしろ、頑張っているな、と微笑ましく思うぐらい。
あと、何かの時に、このネタでいじれるしね。ふふっ。

一方のアデレィはというと、僕が部屋で彼女と話をしていたら、ずかずかと乗り込んでくるし、何をしていたのか問いつめて来るし、まったくその様子に笑っちゃうね。日頃のポーカーフェイスが聞いてあきれるよ。
しかもあのアデレィが、専属の紅茶係に希望だって。
それに彼女が迷惑そうな顔をしたから、余計に面白くなって笑ってしまったよ。アデレィを拒否する女性もいるんだぁ――って。だって彼は背も高ければ、金髪碧眼で、誰もが振り返る程の整った顔だち。王者のオーラを身にまとい、魅かれる者は多い。そんな彼を相手に嫌そうな声を出すんだから、本当、笑っちゃうよね。

そうそう、彼女の作っている作物も好調らしいね。
市場に出回り始めたって聞いたよ。すごいよ、その行動力!感心するほど逞しいよね!

そんな中、ディラン家のアルメリアとジェネミー姉弟が来客。まったく面倒だよね。
どうせ、アデレィを追っかけて来たんだろうけどさ。
静かな時間を過ごしていたのに、ひと波乱起きそうな予感がしたよ。のちにこの予感は当たるんだけどね。

そして気分転換を兼ねて、ディラン家の二人とリツキを湖に連れて行ったんだけど、案の定、アデレィが現れてリツキだけ連れて帰ったんだよね。僕に言われて湖にしぶしぶ顔を出しに来たと思うんだけど、その前にリツキに出会ったもんだから、予定変更したんだろう。ジェネミーは一人で濡れて帰って来たまま不機嫌だったし、リツキの姿は消えてるし。これは何かあったに違いない。

後日、アデレィの正体がばれてしまった時、リツキの反応は予想のななめ上をいく反応だった。
――やっぱり彼女はおもしろい。
正体がばれては、お忍びともいえなくなったので、舞踏会が開かれることになったんだ。
その時、わざわざリツキを貴族達に囲まれる公式の場に引っ張りだしたんだよ。
綺麗に着飾った姿が見たかったという男心もあるだろうけど、本当の目的はきっと、リツキという存在を皆に認識させるためだったと思う。アデレィは外堀を埋めにかかっているな。しかし、まだまだだね。今後どう動くのか見ものだね。
けどそれよりも、まずはリツキ本人に自覚してもらわないとね。ここが一番重要だよね。
そうそう、その舞踏会では、アデレィとリツキの間で何かあったみたいだ。
一瞬だけ、アデレィの姿が消えたな――と思っていたら、不機嫌な様子で戻ってきたアデレィに、誰も近寄れなかったよ。けれど、僕はちょっと笑ってしまったよ、ごめんアデレィ。だって、振り回されてるよね、完璧。君ともあろう者が。

その後リツキは、アルメリアに責められて、ひょんなことからある事実を知ってしまうんだよね。それを知った時のリツキはすごくせつなそうに痛みに耐えているような顔をしているのに、必死に涙を見せまいと強がっているんだよね。
もちろん、すぐに僕が救いの手を差し伸べたけどね。彼女は笑っている時の顔の方が、泣き顔よりも何倍も美しいから。
けど個人的には困っている顔も可愛いと思うんだよね。
僕の冗談を真に受けて、動揺してひきつった顔とか、瞳を見開いて口を開けて固まっている表情とか。
可愛くって、ついいじめたくなるんだよね―。困っちゃうよね―。
けど、本気で泣かそうなんて、思っちゃいないからね。
だから僕の知っている限りのことをリツキに教えたんだ。

その日は城に泊めたんだ。彼女、精神的に不安定だったからね。そして、夜にこっそり様子をうかがおうとしたら……
あっ、言っておくけど、変な意味じゃないよ?レディの部屋を黙って訪ねるとか、そういう趣味はないんだよ?だけど、非常事態ってこともあるじゃない?そして、こっそり様子をみたら、バルコニーに立っていたんだ。

なんとまぁ、隣にはアデレィの姿が!二人で深夜に一緒に月を眺めていたよ。

おっ!アデレィ頑張っているな!と感心したのと同時に、ちょっと嫉妬したりもして。
まあ、あの場はアデレィに譲ってやったけどね。

その後リツキはいろいろあって、メイド仲間の後押しなどもあり、悩んだ末に今後の重大なことを決めたみたいだ。

いや――良かった!!よくぞ決めてくれたよ。
アデレィは上機嫌で、気持ち悪いぐらいだよ。
初めてみる友人の姿に、健闘を祈るしかない僕。今後がすごく楽しみだよ。

そんな訳で第二章は、王都についてからの始まりだよ!


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