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鉄道への思い胸に前進 JR東日本水戸支社初の女性部長
鉄道への思い胸に前進 JR東日本水戸支社初の女性部長
阪本 未来子 さん (42) 男性、女性に関係なく後輩の精神的支柱になりたい。 JR東日本水戸支社初の女性部長として、六月に営業部長となった。「水戸支社の営業部には十二年前にも在籍した。当時仕えた部長のように業務をきちんと回せるだけの能力が今の自分にあるのかな」。そんな一抹の不安と緊張感を感じながらの就任だった。 営業部の業務は旅行商品づくりをはじめ、駅の社員への接遇教育、駅構内の店舗管理など多岐にわたる。部員約五十人の大所帯で、女性社員は自分も含め、たったの五人しかいない。 そんな職場環境でリーダーを務めることにも「女性部長だからといって特別な苦労はない。昔一緒に働いた仲間もいるし、部員たちに性差に対するこだわりはほとんどないから」と語る。 JR東日本に入社したのは一九八九年四月のこと。同社は当時、駅ビル関連開発事業が盛んで、駅にコンビニエンスストアを設けたり、ショットバーを造ったり、新たな試みを次々打ち出していた。まだまだ男の職場だった鉄道会社を志望した動機を「鉄道を軸にいろいろな仕事ができる可能性を感じたから」と振り返る。 以来、営業畑を中心にさまざまな職場を経験してきた。二〇〇一年から三年間は、東京・渋谷駅の副駅長として駅の現場に携わった。「駅の業務は一本一本の列車を安全に迎え入れ、送り出すことに全神経を傾注する。駅業務を離れた今でも、(列車が駅から出て行く時の)赤いテールランプを見ると安心する」と、駅員としての職業意識が染みついたと語る。 〇五年から二年間弱は、東京本社の「お客さまサービス部」で課長を務めた。もっと利用者へのサービスを向上させるにはどうしたらいいか-。社員間で「かんかんがくがくの議論を重ねた」ことが印象に残っているという。 例えば、中央線の新型通勤車両E233系の導入に際し、自分の母親が「優先座席が座りにくい」と言ったことを思い出し、優先座席の中央に手すりを一本増やすことや、優先座席が弱者のための席であることを視覚的に訴えるため、付近の床の色をカラフルにすることなどを開発の担当部に提案した。 多くの得難い経験を経て、組織をまとめる部長の職に就いた。「自分の仕事に真摯(しんし)に取り組み、自分がいた証しになるような仕事をしたい。男性、女性に関係なく後輩の精神的支柱のような役割も果たしていきたい」
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【東京新聞】 |
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